2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体部分肺移植における移植肺の機能と成長に関する実験(2)
Project/Area Number |
14571266
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊達 洋至 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (60252962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 由文 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (60322228)
青江 基 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (80260660)
清水 信義 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90108150)
永廣 格 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (00311803)
|
Keywords | 生体部分肺移植 / ドナー / レシピエント / 動脈血酸素分圧 / 肺動脈圧 |
Research Abstract |
生体部分肺移植は、二人の健康なドナーが、それぞれの右下葉あるいは左下葉を提供し、レシピエントの右肺および左肺として移植する術式である。移植される肺が小さいために、レシピエントは子供かあるいは体格の小さな大人に限られる。岡山大学で実施した生体肺移植20例の内15例が大人であったが、いずれも女性で最高身長は164cmであった。体格の大きな大人、特に男性がレシピェントであると、相対的に移植肺が小さくなりすぎて、肺高血圧症、肺水腫を起こすと考えられる。 そこで、14年度は、新しい術式"Unilateral double lobar lung transplantation"を考案し、犬を使ってその術式を確立し、早期肺機能を測定した。ドナー犬は犠牲死させた後、両肺を摘出し、右グラフト(右中下心臓葉)および左グラフト(左下葉)を分離した。レシピエントは右肺のみを摘出した。左グラフトを水平方向および垂直方向に180度回転させ、右上葉の位置に移植した。つまり左グラフトの横隔膜面が肺尖を向くように移植した。右グラフトは解剖学的位置に移植した。移植後は、左肺動脈を結紮し、移植肺のみの機能を3時間にわたって観察した。 6回の移植実験はすべて成功し、レシピエントは移植された肺のみで3時間にわたって良好な呼吸機能を示した。3時間後の動脈血酸素分圧は519±31mmHg、平均肺動脈圧は30.5±1.7mmHgであった。 "Unilateral double lobar lung transplantation"は、技術的に可能であり、急性期の呼吸機能も良好であった。体格の大きな大人患者にも行いうる新しい移植方法として期待できる。平成15年度は、生存実験を行って、長期の呼吸機能の変化、気管支吻合部の治癒過程を検討する予定である。
|