2003 Fiscal Year Annual Research Report
MCP-1受容体拮抗遺伝子療法による新しい心臓保存・移植戦略の開発
Project/Area Number |
14571271
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 茂樹 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70243938)
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Keywords | 再灌流障害 / MCP-1 |
Research Abstract |
本研究の目的は心臓保存、移植戦略の改良をめざしたMCP-1受容体拮抗遺伝子療法を確立し、実際に臨床応用可能な基礎研究を実施することである。具体的には1)MCP-1受容体拮抗遺伝子療法により長時間心保存後の虚血再還流障害を軽減しうるかどうか。2)MCP-1受容体拮抗遺伝子療法により心臓移植術で避けることのできない体外循環による侵襲を軽減しうるかどうか。3)MCP-1受容体拮抗遺伝子療法により移植心の炎症性変化、繊維化を軽減し移植後血管障害を抑制しうるかどうかを明らかにすることが目的である。 今回我々は、pcDNA3プラスミドにMCP-1拮抗遺伝子である7ND遺伝子を組み込み、7NDプラスミドあるいは遺伝子を組み込んでいないプラスミド(対照プラスミド)を実験動物に筋注しウサギ交叉循環摘出還流心モデルを用いて実験を行った。 まずは、ヒトMCP-1、7ND遺伝子のウサギ単球への作用確認のため7ND遺伝子導入、非導入のそれぞれのウサギ皮下にMCP-1を注射して単球浸潤の程度を比較検討した。MCP-1による多数の単球浸潤をヒト7ND遺伝子導入により阻害し得た。 摘出還流心モデルでは、供血ウサギにあらかじめ7ND遺伝子あるいは、対照遺伝子をエレクトロポレーション法にて導入した。6時間保存した心臓の心機能をこの供血ウサギの血液で還流された摘出心装置で評価した。6時間保存後の心機能は、7NDプラスミド使用群で有意に良好であり、加えて単球由来のサイトカイン(IL-1β,TNF-α)も有意に低下していた。組織では、好中球の心筋組織への浸潤が減少し好中球遊走能を持つ単球由来のサイトカイン減少によるものと推測された。これらより、現在まで虚血再還流障害において殆ど解明されていない単球、MCP-1の役割を明らかにするとともに心臓保存、移植戦略の改良に繋がる可能性が示唆された。
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[Publications] Kajihara N, Morita S, et al.: "Transfection with a Dominant-Negative Inhibitor of Monocyte Chemoatractant Protein-1 Gene Improves Cardiac Function after 6 hours of Cold Preservation"Circulation. 108. II213-II218 (2003)
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[Publications] Kajihara N, Morita S, et al.: "Transfection with a Dominant-Negative Inhibitor of Monocyte Chemoatractant Protein-1 Gene Improves Cardiac Function after 6 hours of Cold Preservation"Circulation. 106・19. 549 (2002)