2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571281
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
筒井 英光 東京医科大学, 医学部, 助手 (50328233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074768)
土田 敬明 東京医科大学, 医学部, 講師 (80256239)
奥仲 哲弥 東京医科大学, 医学部, 講師 (80233469)
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Keywords | 末梢型肺癌 / 光線力学的治療法 / PDT / 組織内照射 |
Research Abstract |
[初年度の目的]末梢型肺癌に対するPDTの安全性を検討するために、実験動物の正常肺実質に対し組織内照射法によるPDTを施行して、その組織学的影響を研究した。[実験材料および方法]当初は実験動物としてウサギを予定していたが、基礎実験で本実験侵襲には耐えられないことが判明したため、生後3ヶ月の正常ブタ(30-35kg)を使用した(n=5)。光感受性物質はフォトフィリン^<TM>を使用し、5mg/kgのdoseでPDTの24時間前に静注した。全身麻酔下に小開胸を行ってから、右下葉または中葉に19Gのエラスター針を刺入し、これを介してファイバーを肺実質内に導入した。励起光源はダイオードレーザー(630nm)を使用した。長さ2cmのdiffuser fiberを使用して、出力200mW/fiberで100-400J/fiberの照射を行った。各ブタにつき順に3点で実験を行った。照射後3日で犠牲死させ、肺を摘出してホルマリン固定を行い、標本を作製した。[実験結果]実験後に呼吸不全を来したブタはなかった。光感受性物質を投与しないコントロール群においては、レーザーの温熱効果こよる壊死は生じなかった。標本のマクロ所見では、胸膜直下に暗褐色の壊死巣を認め、内部は均一で周囲との境界は明瞭で、やや大きい気管支や血管への影響は少なかった。穿刺部周辺の臓側胸膜は若干肥厚していたが、構造の破壊は認めなかった。壊死巣中心部のEVG染色では、細気管支の弾性線維や平滑筋層、細血管の内膜・中膜・外膜の基本構造が比較的良く保たれていた。壊死巣辺縁部と正常部分とを含めた組織像(HE染色)では、壊死巣の周囲を肉芽組織層が囲んでおり、分界線を形成していた。壊死巣の中心部と辺縁部とを比較すると、壊死に質的・時間的な差異はなかった。壊死部の大きさは100Jでは5mmであったが、200Jと400Jでは10mmであった。[考察]PDTによる正常肺実質に生じる壊死はdiffuser fiberの周囲約1cm限局し、壊死部は被包化されているため、その修復過程において、収縮・瘢痕化は起こり難く、PDT後に周囲組織の機能が比較的保持される可能性が示唆された。
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