2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571287
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
佐久間 勉 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (90215674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 昌伸 金沢医科大学, 医学部, 助手 (10247439)
佐川 元保 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (70292274)
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Keywords | 肺水腫 / 肺胞上皮細胞 / 肺切除術 / カテコールアミン / ナトリウムチャンネル / アミロライド / CFTR / グリベンクラミド |
Research Abstract |
肺傷害修復過程における肺胞水分再吸収機序:ラット虚血再潅流傷害肺モデルを作成して,虚血潅流肺傷害が肺胞上皮細胞の水分再吸収機序に及ぼす影響を検討した.その結果,1時間の虚血により肺血管外水分量は増加するとともに,肺胞水分クリアランスは低下した.虚血肺を摂氏4度に冷却すると,肺傷害は抑制され,肺胞水分クリアランスは正常化した.肺傷害を防止する方法として低温療法が有効であることが示唆された. 低栄養が肺胞水分クリアランスに及ぼす影響:ラットでは栄養状態が悪化すると肺胞水分クリアランス機能は低下した.とくにアミロライド非感受性分画が主に低下した.それはDibutyril cyclic GMP感受性であった.また,栄養状態が改善するかグルタミン酸ナトリウムを補給することにより肺胞水分クリアランスは改善した.この結果は周術期栄養管理が肺胞上皮細胞機能を維持するうえで重要であることを示唆する.(Am J Physiol雑誌掲載予定,PressSインターネット掲載中) 脱水が肺胞水分クリアランスに及ぼす影響:脱水により肺胞水分クリアランスは低下する.これを補正する方法には難渋したが,5%ブドウ糖液のみ飲水させることにより,水分摂取量が増加して血清浸透圧は低下した.その結果,肺胞水分クリアランスは正常化した.補液により血清浸透圧を上昇させないことが肺法水分クリアランスを維持するために重要であることが示唆された.(論文投稿中) ヒト肺気腫での肺胞水分再吸収機序:ヒト切除気腫化肺を用いて肺胞水分クリアランスを測定したが,肺胞に注入して液の採取は不可能であった.そこでまず,肺傷害による肺水腫液でのカテコールアミン濃度を測定した.その結果浮腫液および血清ともアドレナリン,ノルアドレナリン濃度はナノモルレベルまで上昇した.そこで,肺ガンのため切除された肺葉を用いて,ナノモル濃度のカテコールアミンが肺胞水分クリアランスに影響を及ぼすか否かを検討した.その結果,ナノモルレベルのカテコールアミンは肺胞水分クリアランスに関与しないこと,100ナノモルレベルのノルエピネフリンは肺胞水分クリアランスに影響しなかったが,エピネフリンはそれを亢進させた.また,エピネフリンの効果はグリベンクラミドにより抑制されたことより,Cystic fibrosis transmemrane regulator (CFTR)を介したことが示唆された.この研究では肺傷害症例において内因性カテコールアミンは肺胞水分再吸収を亢進させるには不十分であり,ベータ交感神経刺激薬の気道内投与が有効であることを示唆している.(論文投稿中)
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsutomu Sakuma et al.: "Malnutrition impairs alveolar fluid clearance in rat lungs"Am J Physiol. (In press). (2004)
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[Publications] Tsutomu Sakuma et al.: "A prostacyclin analogue OP-41483a-CD restores the ability of a β2-adrenergic agonist to stimulate alveolar fluid clearance in rats"Surg Today. (In press). (2004)