2002 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈弁置換術術後の非構造的機能不全に関する血清学的研究及び免疫組織学的研究
Project/Area Number |
14571290
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
青柳 成明 久留米大学, 医学部, 教授 (40098786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 周司 久留米大学, 医学部, 助手 (90261073)
田山 栄基 久留米大学, 医学部, 助手 (90281542)
林田 信彦 久留米大学, 医学部, 講師 (30238141)
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Keywords | パンヌス / 人工弁機能不全 / TGF-β1 |
Research Abstract |
日的:血柱やパンヌス形成から発生する人工弁機能不全(PVD)は稀に存在する重篤な合併症と報告されている。しかし、当科の以前の研究にて無症候性PVD症例が高頻度に存在することを報告してきた。今回これらPVD症例を含む大動脈弁置換術(AVR)症例に対し、血清学的側面からその発生因子を検討した。方法:当施設にてSJM弁を用いAVRを施行され、経過観察中にPVDと診断された26例(PVD群)及び人工弁機能正常群の48例(C群)を対象とした。一般血液検査、TGF-β1を測定した。PT-INRは術後から検査日まで6-12カ月間隔で測定した。重症のPVD症例に再手術施行し、摘出された人工弁及び周囲組織の保存及び検討を行った。結果:患者背景では、諸因子に有意差を認めなかった。しかし、性別はC群女性20例(43%),PVD群女性20例(77%)でPVD群で有意(P=0.006)に女性が多かった。TGF-β1はPVD群(87.7±29.2ng/ml)、C群(73.7±25.2ng/ml)と比較して有意(P=0..03)に高値であった。術後から検査日までのPT-INRの推移の平均値は、PVD群(1.68±0.12)がC群(1.75±0.12)に比較し有意(p=0.03)に低値であった。再手術11症例では全例パンヌス形成を認めた。これに対する免疫組織学的研究は現在進行中である。結論:PVD群では経過観察中のPT-INRがC群より低く、不十分な抗凝固療法によるPVD症例が存在するためであると推察される。PVDの一因として血栓化が示唆された。さらに再手術11症例では全例パンヌス形成を認めており、血中TGF-β1が高く、侵襲後の慢性的な過剰組織修復機転による関与が示唆された。検討:2003年度は、パンヌス組織に対する免疫組織学的研究、血栓とパンヌスを鑑別する検査項目の検討、パンヌス組織の発生機序の検討、遺伝子学的研究を予定している。略語:人工弁機能不全(prosthetic valve dysfunction : PVD)、大動脈弁置換術(aortic valve replacement : AVR)、セントジュードメディカル(St.Jude Medical : SJM)、形質変換増殖因子(transforming growth factor-beta 1:TGF-β1)、プロトロンビン時間国際標準値(prothrombin time-international normalized ratio : PT-INR)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Aoyagi S.: "Obstruction of St.Jude Medical valves in the aortic position : A consideration for pathogenic mechanism of prosthetic valve obstruction"Cardiovasc Surg. 10(4). 339-344 (2002)
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[Publications] Tayama E.: "Asymptomatic prosthetic valve dysfunction : Pannus?"Artificial Organs. 26(5). 399-401 (2002)
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[Publications] 青柳 成明: "大動脈弁輪膿瘍の処理法"胸部外科. 56(2). 116-118 (2003)