2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生医学を用いた治癒的放射線治療と手術併用法の開発のための基礎研究
Project/Area Number |
14571293
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
杉山 賢司 国立がんセンター, がん治療開発部, 主任研究官 (40132766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 学 国立がんセンター研究所, 支所・がん治療開発部, 室長 (40360698)
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Keywords | 再生医療 / 皮膚再生 / 放射線 / ケラチノサイト / 移植 / 線維芽細胞 / 術前手術 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
放射線化学療法は術前療法として用いられているが、充分な線量を照射する事は、後の手術を不可能にするとされている。その理由は、例えば、放射線療法により気管支の癒着や気管支漏を併発したり、食道の硬化による狭窄や癒着が起こる。さらに、皮膚を含めこれらの臓器では手術断端の吻合不全がある。もし、充分な照射を行った後も安全に手術を行えれば救命の可能性は高くなると考えられる。そこで本研究では、再生医学を用いて放射線療法後の創傷の治癒を促進し、安全な手術を行う方法を開発するための基礎を確立することを目的とする。今年度は、放射線照射後ラットに於いて皮膚の創傷治癒が傷害させる原因の解明および創傷治癒を促進する方法を確立することを目的とした。 ラット大腿部に30Gyの電子線を照射した後、大腿部皮膚を直径4mmのパンチで大腿部皮膚の全層を切除した。未照射ラットでは一週間で傷が治癒するが、照射ラットでは一週間でも未照射ラット3〜4日目の再生段階と同様で表皮・真皮ともに再生の傷害が認められた。病理学的検討から、照射ラットの皮膚では毛根数の減少、新生血管数及びmyofibroblasts数の減少が顕著であった。毛根にあるケラチノサイトが再生上皮に供給されることが知られ、ケラチノサイトとfibroblastsの相互作用が皮膚再生には必要であるといわれている。実際、サイトケラチン14陽性なラット・初代培養ケラチノサイトを照射ラットの創傷後に移植すると治癒が促進され、再生されつつある表皮はサイトケラチン14陽性であった。したがって、電子線によるケラチノサイト幹細胞へのダメージが創傷治癒の傷害に関与していることが示唆された。また、ケラチノサイト幹細胞の移植が放射線による皮膚創傷治癒の傷害を緩和する可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 杉山 賢司: "大腸癌の発生、進展に関連する病変の理解 : ACF(aberrant crypt foci)"内科. 91(5). 11-15 (2003)
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[Publications] Katada C, Muto M, et al.: "Esophageal stenosis after endoscopic mucosal resection of superficial esophageal lesions"Gastrointestinal Endoscopy. 57(2). 165-169 (2003)
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[Publications] Muto M, et al.: "Association between aldehyde dehydrogenase gene polymorphisms and the phenomenon of field cancerization in patients with head and neck cancer"Carcinogenesis. 23(10). 1759-1765 (2002)
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[Publications] Muto M, et al.: "Association of multiple Lugol-voiding lesions with synchronous and metachronous esophageal squamous cell carcinoma in patients with head and neck cancer"Gastrointestinal Endoscopy. 56(4). 517-521 (2002)
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[Publications] Miyamoto S, Muto M, et al.: "A new technique for endoscopic mucosal resection with an insulated-tip electrosurgical knife improves the completeness of resection of intramucosal gastric neoplasms"Gastrointestinal Endoscopy. 55(4). 576-581 (2002)