2003 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線の脳腫瘍に対する治療効果比とラジカル反応に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14571298
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 晋吾 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50292553)
安西 和紀 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター・レドックス制御研究グループ, グループリーダー (70128643)
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター・粒子線治療生物研究グループ, グループリーダー (00159526)
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Keywords | ラジカル / 高LET / 重粒子線 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
悪性神経膠腫は、従来の放射線治療に対して感受性が低く予後不良であったために、高LET粒子線の効果に期待が集まっている。これまで、高LET粒子線の細胞に対する生物学的効果は、DNAに対する粒子の直接作用に因るところが大きく、DNA周辺に存在する水分子の解裂により生じるヒドロキシルラジカル(【overhead dot】OH)などを介した間接作用は極めて小さいと考えられてきた。そこで、本研究では、炭素イオン線が水溶液中に生成する【overhead dot】OHを定量化し、その生物学的効果に対する役割を推測した。 照射により水分子から生成される【overhead dot】OHを補足するために、5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide (DMPO)を細胞培養液、重水、エタノールに添加しておき、炭素イオン線(20〜90keV/μm)またはX線を照射した。照射終了から10分後に、生成された【overhead dot】OHをelectron spin resonance (ESR)で定量化した。その結果、X線・炭素イオン線照射後に水が解裂して生じた【overhead dot】OHはDMPOに捕捉され、そのESRシグナルが得られることが確認された。これらのシグナルの解析から、炭素イオン線照射後の【overhead dot】OH生成量は、吸収線量に比例することが示された。また、LET値が20、40、60、80、90keV/μmのときに産生される【overhead dot】OHは、X線照射時の、それぞれ64,58,52,49,50%となり、【overhead dot】OHの産生量はLET値に対して対数関数的に減少することが初めて明らかにされた。 炭素イオン線の入射領域では、X線の60%以上の【overhead dot】OHが生じていることがわかり、今後の粒子線を用いた治療にも重要な知見が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Moritake T, Tsuboi K: "Reduction of nitroxides and radioprotection ability in glioblastoma cells"Brain Tumor Pathology. 20. 1-5 (2003)
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[Publications] Moritake T, Tsuboi K: "ESR spin trapping of hydroxyl radicals in aqueous solution irradiated with high-LET carbon-ion beams"Radiation Research. 159. 670-675 (2003)
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[Publications] Nishizawa K, Tsuboi K: "Dose measurement for patients and physicians using a glass dosemeter during endovascular treatment for brain disease"Radiation Protection Dosimetry. 107. 247-252 (2003)
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[Publications] 盛武 敬, 坪井康次: "神経膠腫細胞に対する重粒子線によって生じるラジカル反応に関する研究"放射線医学総合研究所. (2003)