2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脳虚血モデルにおけるPACAPの脳保護効果およびその作用機序に関する研究
Project/Area Number |
14571322
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永山 哲也 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40336334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 篤郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60183969)
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (00264416)
新納 正毅 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30172612)
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Keywords | PACAP / maxadilan / ischemia / apoptosis |
Research Abstract |
本研究の材料として胎生19日齢の胎仔ラット脳から分離した大脳皮質・および海馬神経細胞の初代培養を行い,低酸素・低グルコース負荷におけるPACAPまたはその特異的レセプター(PAC1)のアゴニストであるMaxadilanの神経細胞保護効果をMTT assayおよびCell Counting Kit-8を行なって評価した.その結果,両薬剤とも用量依存的に生存細胞の増加が認められた.PACAPにおいては,10nMで最大の効果(約30%の増加)が認められ,それより高濃度では逆に保護効果が低下した.一方,Maxadilanにおいては100nMで最大の約70%の生存細胞増加がみられ,PACAPより高い保護効果が認められた.PAC1 mRNAは虚血後早期より発現が上昇することを確認しており,PACAPおよびMaxadilanの神経細胞保護効果はPAC1を介した経路によることが示唆された.また虚血により障害された細胞はTunel染色陽性でありアポトーシスによる細胞死が予想された. ラット全脳虚血モデルを用いた両薬剤の神経保護効果の実験においては,腹腔内への薬剤投与後に虚血負荷を行った.特にMaxadilanにおいて海馬CA1細胞の生存数が増加傾向にあったが,明らかな有意差は得られていない.現在静脈内投与においてもその保護効果の有無を検討している. 今後は,上記実験を局所脳虚血モデルでも行いさらなる保護効果の有無を観察し,作用機序についてはcaspaseカスケードとの関連も分析する予定である.またPACAPノックアウトマウスを用いてWildタイプとの障害程度の違いを比較し,PACAPの脳保護に対する役割を分析する予定である.
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