2003 Fiscal Year Annual Research Report
くも膜下出血後髄液中プロスタグランジンD合成酵素の機能と脳保護作用について
Project/Area Number |
14571327
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60238920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 部長 (10201360)
山田 和雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90150341)
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Keywords | プロスタグランジンD合成酵素 / くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / ビリベルジン / 正常圧水頭症 / ニューログロビン / 血管内費成長因子 / 髄液 |
Research Abstract |
脳髄液中に特異的に存在する分泌型プロスタグランジンD合成酵素(PGDS)がくも膜下出血3-5日後に髄液中PGDSが一過性に増加すること,増加したPGDSはビリベルジンを捕捉しておりそのまま尿中に排泄されること,ビリルビンの酸化物が強い血管収縮作用を持つという事実から,PGDSが髄液腔のヘム代謝物を除去して脳血管攣縮を軽減させる機能を持つ可能性を証明することが目的である.本研究で以下の結果を得た. ビリベルジンに結合したPGDSの生体内動態を調べるために.ヒト遺伝子組み換えPGDSをイヌの髄腔内および静脈内へ投与した.髄液腔から血中への移行は投与後約5時間でピークとなった.静脈内投与後の半減期は約10分で.投与量の10%が尿中へ排泄され,残りは代謝された可能性があることが新たに明らかとなった.ビリベルジンと結合したPGDSは酵素活性を失うことも明らかにした. In vivoではラットくも膜下出血モデルにおけるPGDSのmRNAおよび蛋白の発現実験を行ったが,constitutiveに存在するためcontrolとの差が明らかでなく有意差を見いだすには至らなかった.またPGDSとVEGF, neuroglobinとの相関関係を示す十分な結果は得れなかった(作成した抗neuroglobin抗体の特異性が悪かったと思われる). 初期の研究計画にはなかったが,くも膜下出血後正常圧水頭症(NPH)の髄液中PGDS濃度を測定してみた.その結束,NPHでは正常例に比べ髄液中PGDSが有意に低下することを発見した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 間瀬光人, 山田和雄, 裏出良博: "髄液中くも膜下血腫代謝産物の排泄機構の解明草・lipocalin型prostaglandin D合意性酵素の役割"脳卒中の外科. 31(Suppl). 76-80 (2003)
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[Publications] 間瀬光人, 山田和雄, 裏出良博: "正常圧水頭症と他の痴呆性疾患との鑑別診断マーカーとしての(beta-trace)測定の有用性"正常圧水頭症研究会・研究発表報告集. 3. 85 (2003)
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[Publications] Mase M.Yamada K, Urade Y: "Lipocalin-type prostaglandin D synthase(beta-trace) in cerebrospinal fluid ; A useful marker for the diagnosis of normal pressure hydrocephalus"Neuroscience Research. 47. 455-459 (2003)