2003 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎由来の疼痛伝達経路に関する基礎的研究(神経トレーサーを用いて)
Project/Area Number |
14571358
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 和久 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20179477)
|
Keywords | 椎間板性腰痛 / 神経トレーサー / 後根神経節 / 交感神経幹 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
腰椎椎間板を支配する後根神経節ニューロンの分布を調べるために、神経トレーサーであるFluoro-Gold(FG)をL5-L6椎間板左側方部に投与してFGに標識される後根神経節ニューロンがどのレベルの後根神経節に分布するかを調べた。その結果、FG標識ニューロンはT13からL5の広範囲の後根神経節に分布していることが分かった。また交感神経幹を切除すると、L2より頭側の後根神経でFG標識ニューロンは有意に減少することがわかった。また、椎間板の障害に対する侵害情報を伝達するニューロンの一部は交感神経節を経由していることが分かった。 さらに神経トレーサーにて腰椎椎間板を支配するDRGニューロンを特定した上で、それらのニューロンの免疫組織染色を行い、その性質を調べた。また対照として同様の実験を足底皮膚に対しても行った。 侵害情報を伝える小型の後根神経節(DRG)ニューロンはその神経栄養因子感受性によりNGF感受性ニューロンとGDNF感受性ニューロンに分類される。前者は神経ペプチドであるsubstance P(SP)やcalcitonin gene-related peptide(CGRP)を含有しており、後者はisolectin B4(IB4)と結合する性質を持ち、P2X3受容体を持っていることが分かっている。 結局椎間板を支配するDRGニューロンのCGRP陽性率は、椎間板群で54%、皮膚群で41%であった。IB4陽性率は椎間板群で1%、皮膚群で20%で、椎間板群で有意に少ないことが分かった。 これより、椎間板を支配する侵害受容性のDRGニューロンはほとんどがNGF感受性ニューロンであることが分かった。NGFは炎症時に誘導され疼痛を増強する性質があり、椎間板性腰痛のメカニズムに関係している可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 男澤朝行, 他: "The dorsal portion of the lumbar intervertebral disc is innervated primarily by small peptide-containing dorsal rot ganglion neurons in rats."Neuroscience Letters. 344. 65-67 (2003)
-
[Publications] 青木保親, 他: "P2X_3-immunoreactive primary sensory neurons innervating lumbar intervertebral dis c in rats."Brain Research. 989. 214-220 (2003)