2003 Fiscal Year Annual Research Report
二足マウス側彎への松果体ホルモンmelatoninの関与
Project/Area Number |
14571408
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村井 一郎 日本大学, 医学部, 助教授 (10130618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 順子 日本大学, 医学部, 助手 (50318408)
町田 正文 日本大学, 医学部, 講師 (30150717)
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Keywords | 実験的側彎 / メラトニン / 日内変動 / 二足化 / C57BL / 6系マウス / C3H / He系マウス / 松果体摘出 |
Research Abstract |
松果体より分泌されるmelatoninと二足歩行(脊柱への垂直重力負荷)が実験的マウス側彎の形成に関与するか否かを検討することを目的とし、2つの異系雄マウスを用いて以下の実験を施行した。すなわち、先天的にmelatoninが欠如しているとされるC57BL/6Jマウスの二足化および正常なmelatonin合成系を有するとされるC3H/HeJマウスの二足化+松果体摘出術(PINX)あるいはコントロール手術(CONT)をそれぞれ施行した3群を対象に、側彎の発症率(Cobb角10°以上を側彎とした)を比較検討した。なお、二足化および松果体摘出術は3週齢で施行し、Cobb角については実験終了時(35〜45週齢)のレントゲン撮影画像をコンピューターに取り込んだ後測定した。また側彎発症実験に先がけ、C57BL/6JとC3H/HeJマウス(8〜12週齢)における血中および松果体内melatonin濃度の日内変動を分析した。 正常melatonin合成系を有するとされるC3H/HeJマウスの血中melatonin濃度は暗期開始から10時間後に軽度の上昇(18.7pg/ml;明期の約2倍)を示したが、C57BL/6Jマウスにおいては明・暗期ともに測定感度以下(<2.8pg/ml)であった。また、松果体内melatonin含量も同様の傾向を示し、前者マウスの暗期(306.0pg/Pineal Gland)は明期より約2倍に増加したが、後者マウスの松果体内含量は明・暗期ともに低値(12.0pg/Pineal Gland以下)であった。一方、二足化マウスの3群;C3H/HeJ+CONT、C3H/HeJ+PINX(およびC57BL/6J群における側彎の発症率はそれぞれ16.7、70.0、64.3%、側彎2箇所発症率は0.0、50.0、14.3%であった。 (1)C57BL/6Jマウスの松果体におけるmelatonin合成能はC3H/HeJマウスと比較して著明に低く、さらに(2)二足化した57BL/6J群とC3H/HeJ+PINX群では高率に側彎を発症することから、両系雄二足マウス側彎の発症にはmelatoninが重要な生理的役割を担っているものと推察される。
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