2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳脊髄虚血による自律神経活動に人工呼吸と環境温変化が及ぼす影響の実験的研究
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14571443
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 昌志 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40127642)
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Keywords | 心拍変動解析 / 動脈圧変動解析 / 中枢神経 / 脳死 / 人工呼吸 |
Research Abstract |
脳を含む脊髄神経系の虚血は臨床的には重要な病態であるが,麻酔中の患者管理においては良いモニターがない.本研究では虚血を修飾する因子が,心臓自律神経活動に及ぼす影響を実験モデルを用いて検討している.陽圧人工呼吸の脳虚血に与える影響は不明な点が少なくない.今年度は外傷性脳虚血に対する陽圧人工呼吸の影響を検討した. 全身麻酔下に人工呼吸をしながらモデル動物(白色日本家ウサギ)を用いて外傷性脳虚血を作成し,人工呼吸の影響を,持続陽圧(PEEP)を変化させて検討した.脳潅流量の評価は微小色素法で定量評価し,心拍変動・血圧変動,およびその相互関係は,われわれ独自の解析法を用いた.すなわち実験はPEEPを負荷するかしないかで2群に分けた対象に脳外傷による脳死を作成し,心拍変動解析および血圧変動解析のスペクトル分析を行った.対象周波数は0.04から0.40(Hz)までを低周波,0.75から1.40(Hz)までを高周波成分としてそれぞれのパワーとその比を算出して比較検討した.その結果,陽圧人工呼吸の影響は5cmのPEEPを負荷した群の方が,脳死状態のモデル動物の心臓自律神経活動は,主に副交感神経機能が強く抑制されることが明らかになった. 従来のわれわれの研究成果から脳死状態のモデル動物では副交感神経機能が抑制されることが明らかになっており,今回の研究結果からは脳死状態の個体ではPEEPの負荷はさらに一層の機能低下を生じる可能性があることが示唆された.
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