2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血耐性発現におけるアデノシンの関与と効果的薬物投与法に関する研究
Project/Area Number |
14571445
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中木村 和彦 山口大学, 医学部, 助教授 (50180261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 志朗 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (70322245)
松本 美志也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60243664)
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
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Keywords | 脳虚血耐性 / 局所脳虚血 / アデノシン / 脳梗塞 / 中大脳動脈閉塞 / ラット / アデノシンA_1受容体 / DPCPX |
Research Abstract |
中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを用いて、遅発性虚血耐性の有無と、保護効果発現におけるアデノシンA_1受容体の関与を明らかにすることを目的として以下の実験を行った。8-9週齢の雄性Wistarラットを用い、以下の5群に分けて、短時間虚血または長時間虚血の30分前に、アデノシンA_1受容体拮抗薬DPCPX(8-cyclopcntyl-1,3-dipropylxanthine)0.1mg/kgまたは溶媒のDMSO 0.5mg/kgを腹腔内投与した。麻酔の導入・維持にはイソフルランと亜酸化窒素を用いた。Sham/2h群:偽手術とDMSO投与を行い、3日後に、DMSO投与後、2時間のMCAOを行った。Precon/2h群:DMSO投与後、30分間のMCAOを行い、3日後に、DMSO投与後、MCA02時間。DPCPX/precon/2h群:DPCPX投与後MCAO30分、3日後に、DMSO投与後MCAO2時間。Precon/DPCPX/2h群:DMSO投与後MCAO30分、3日後、DPCPX投与後MCAO2時間。Sham/DPCPX/2h群偽手術とDMSO投与、3日後、DPCPX投与後MCAO2時間。実験中は側頭筋温を36.8-37.2℃に保った。実験開始から10日後に脳を灌流固定してHE染色を行い、梗塞体積を求めた。【結果】Sham/2h群と比べて、precon/2h群とprecon/DPCPX/2h群の梗塞体積はともに約40%減少した。DPCPX/precon/2h群とsham/DPCPX/2h群の梗塞体積は、sham/2h群と差がなかった。【まとめ】短時間のMCAOの前負荷は3日後に加えた長時間MCAO後の梗塞体積を有意に減少した。遅発性脳虚血耐性の発現に、短時間虚血時のアデノシンA_1受容体の活性化が関与するが、長時間虚血時のアデノシンA_1受容体の活性化は必要でないことが示された。
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