2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳損傷に対する低温ストレス蛋白を用いた脳低温療法の作用機序の解明
Project/Area Number |
14571456
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
森 和久 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10253999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
旗本 恵介 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20347173)
奈良 理 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90253997)
浅井 康文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80094192)
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Keywords | 虚血性脳損傷 / 低温ストレス蛋白 / apoptosis / HSP / CAI / ORP150 / Ubiquitin / HSC73 |
Research Abstract |
本研究は虚血性脳損傷に対する脳低温の脳保護作用を低温ストレス蛋白(HSP)とapoptosisの両面から検討し、その作用機序を解明することである。脳低温療法は虚血性脳損傷に対する二次性脳損傷を軽減予防に有効であるとされ、その作用機序として遅発性脳細胞死、apoptosis細胞壊死の関与などが示唆されている。しかし、細胞レベルでの虚血脳に対する検討は未だ明らかにされていないのが現状である。また脳低温の温度設定や施行期間がどの程度脳細胞保護効果と関与するかについても不明な点が多い。 国内外において低温に対するapoptosis、HSPの研究は少なく、特に虚血後の脳低温療法の作用機序を焦点としたapoptosis、HSPに関する研究はほとんどない。 我々はこれまでブタを用いた全脳虚血後蘇生モデルに対して、大腿-総頚動脈バイパスを用い24時間の選択的脳低温療法を施行し、海馬のCA3、CA1領域、小脳において脳細胞の早期虚血性変化(24時間)であるred neuron変性、spongiosis、chromatolysisを軽減させることを明らかにした。また各種低温ストレス蛋白(HSP)を免疫組織染色で検討し、海馬CA1でHSC73、Ubiquitin、ORP150の発現レベルと局在が脳低温療法によって変化することを確認し、これらのHSPが虚血損傷に対する脳低温の脳保護作用機序に関与することを明らかにしてきた。低温によるHSPの作用は脳細胞の転写過程に影響を与えている可能性が考えられ、遅発性apoptosis細胞死に対し抑制的効果をもつと考えられた。また20℃の超低温蘇生モデルによる研究では有為なapoptosis細胞壊死の軽減効果とORP150の発現増加を認め、HSPが強くapoptosis細胞壊死抑制に関与することを確認した。
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Research Products
(1 results)