2002 Fiscal Year Annual Research Report
エピドラスコピーによるターゲット治療の確実性と安全性の検討と臨床応用
Project/Area Number |
14571466
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井関 雅子 順天堂大学, 医学部, 講師 (80221076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 豊 順天堂大学, 医学部, 助手 (90338377)
光畑 裕正 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70108934)
宮崎 東洋 順天堂大学, 医学部, 教授 (70053139)
宮澤 一治 順天堂大学, 医学部, 助手 (00292368)
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Keywords | エピドラスコピー / ターゲット治療 / 癒着剥離 / 電流値各閾値 / ノイロメーター / 腰椎疾患 / 腰神経根 |
Research Abstract |
近年、慢性化した脊柱疾患の痛みの一因として、硬膜外の癒着が注目されており、エピドラスコピーを用いて硬膜外の癒着を剥離することで、優れた除痛効果が得られた症例が報告されている。われわれは、脊柱疾患の痛みを有する3患者(症例1:第4腰椎辷り症でレーザー焼灼術後 症例2:腰椎椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の合併 症例3:仙骨嚢腫摘出術後痛)にエピドラスコピーを施行した。エピドラスコピーの前後で3症例とも硬膜外造影を施行し、症例1においてエピドラスコピーの前後でノイロメーター^<TM>を用いた電流知覚閾値(CPT値)検査を、症例2において神経根造影・ブロックならびに椎間板造影を施行することにより、以下のような新しい知見が得られた。 症例1では主に左の第5腰神経と第1仙髄の神経根症状を有していた。MRIでは第4-5腰椎間に辷りとともに右側に椎間板の突出が認められた。しかし患者の痛みは主に左側にあり、電流知覚閾値検査でも左側の第5腰神経と第1仙髄神経領域の2000HzのCPT値が、右側に比べて有意に上昇を示しており、神経学的に太い知覚線維が知覚鈍麻の傾向にあると考えられた。硬膜外造影では左側の第5腰神経の描出が得られず、エピドラスコピーでは第5腰腰椎-仙椎間から癒着が認められ、癒着剥離を施行した。剥離後には左側の第5腰神経の描出も得られ、痛みは著明に改善し、左側の第5腰神経と第1仙髄神経領域の2000HzのCPT値は、右側とほぼ同等の値となっていた。これよりMRIから得られない神経学的情報を、エピドラスコピーで原因検索することが可能であり、癒着剥離による除痛効果は、CPT値の変化と一致すると考えられた。また症例2では、エピドラスコピーによる癒着剥離の効果が、施行後の椎間板造影や、神経根造影時に良好に硬膜外腔が描出されることにより、硬膜外造影以外の画像からも確認できることが示唆された。
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