2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経細胞死実行経路の基礎的解明と新規脳蘇生法への応用
Project/Area Number |
14571467
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
内野 博之 東京医科大学, 医学部, 講師 (60266476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 太 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所・細胞生理, 研究員
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Keywords | 脳虚血 / 神経細胞死 / Cyclophilin D / Calcineurin / MPT / CSJ / Na+ / Ca2+ exchanger / 脳保護 |
Research Abstract |
これまでの研究で虚血性神経細胞死の原因が1)細胞内脱リン酸化酵素であるカルシニューリン活性化および2)ミトコンドリア機能不全に起因することが判明した。そこで、平成14年度はそのメカニズムの詳細な解析を行うためにまず、カルシニューリン/イムノフィリン情報伝達系の関与する遺伝子をDNA chipで捕捉することを最初に施行し、方向性を検討した。その結果1,4000個の遺伝子が見い出され、その中から受容体に関与する遺伝子が重要な役割を担うということがPreliminary dataとして示唆された。さらに、Cydophilin Dを介した情報伝達系の解析をMPTの開孔を特異的に抑制するCydosporin j(CSJ)をラット前脳虚血モデルで使用し、抗虚血効果を検討した。また、細胞内のCa2+上昇がカルシニューリン活性化と密接な関わりを有することから、細胞膜のNa+/Ca2+ exchangerの発現を免疫染色とwestern blotで経時的に解析した。CSJは濃度依存性に遅発性神経細胞死を抑制し、神経細胞死におけるイムノフィリン情報伝達系の重要性が示唆された。また、Na+/Ca2+ exchangerの発現は虚血後に経時的に発現が減少したが、Cyclosporin Aを投与した群ではNa+/Ca2+ exchangerの発現は虚血後に減少を示さなかった。以上の結果より、虚血性神経細胞死にはカルシニューリン/イムノフィリン情報伝達系が重要な役割を担うことがあらためて明らかとなった。今後は、DNA chipで得られた結果に基づいてカルシニューリンと関連を有する新規の情報伝達系の検索を行い、神経細胞死のメカニズムを解明してゆきたい。 CSJは濃度依存性に遅発性神経細胞死を抑制し、神経細胞死におけるイムノフィリン情報伝達系の重要性が示唆された。また、Na+/Ca2+ exchangerの発現は虚血後に経時的に発現が減少したが、Cyclosporin Aを投与した群ではNa+/Ca2+ exchangerの発現は虚血後に減少を示さなかった。以上の結果より、虚血性神経細胞死にはカルシニューリン/イムノフィリン情報伝達系が重要な役割を担うことがあらためて明らかとなった。 今後は、DNA chipで得られた結果に基づいてカルシニューリンと関連を有する新規の情報伝達系の検索を行い、神経細胞死のメカニズムを解明してゆきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shibasaki F, Ulrika Hallin, Hiroyuki Uchino: "Calcineurin as a multifunctional regulator"J. Biochem. 131. 1-15 (2002)
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[Publications] 内野博之, 芝崎 太, Bo.K.Siesjo, 一色 淳: "虚血性神経細胞死とカルシニューリン/イムノフィリン系の役割と新規脳蘇生法確立への応用"蘇生. 21. 1-8 (2002)
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[Publications] Uchino H et al.: "Differential Neuroprotection by Cyclosporin A and FK506 following ischemia corresponds with differing abilities to inhibit calcineurin and mitochondrial permeability transition"Neurobiol. Dis. 10. 219-233 (2002)
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[Publications] 内野博之, 芝崎太, 石井脩夫: "虚血性神経細胞死のメカニズムと脳保護"Lisa. 9. 330-350 (2002)
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[Publications] 内野博之, 芝崎太, 石井脩夫: "薬理学的アプローチによる脳保護と21世紀における脳蘇生の展望"Lisa. 9. 352-362 (2002)
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[Publications] Hiroyuki Uchino et al.: "Pivotal role for Neuroprotection by differential immunosuppressants following rat global ischemia corresponds with differing abilities toinhibit calcineurin and the mitochondrial permeability transition"7th Brain Edema proceeding. (in press).