2003 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸性末梢受容体(頚動脈小体)における酸素感知機構の解明
Project/Area Number |
14571473
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
金 徹 日本医科大学, 医学部, 助手 (80318493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 晋浩 日本医科大学, 医学部, 講師 (00247008)
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Keywords | 頚動脈小体 / ベンゾジアゼピン / 低酸素換気応答 / 酸素感知機構 / 活動電位 / 国際情報交換 / スウェーデン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、GABA受容体作用物質であるベンゾジアゼピンのひとつのミダゾラムの頚動脈小体に対する薬理学特性を調べた。今までに得られたデータを詳細に解析した結果、ミダゾラムは1)頚動脈小体の高酸素状態における基礎的活動電位を用量依存的に有意に抑制する、2)低酸素換気応答を有意ではないが用量依存的に抑制する、ことが明らかとなった。注目すべき点は、ベンゾジアゼピンが中枢神経ではなく、末梢性受容体を介して呼吸抑制作用を持つことを見出した点である。特に低酸素喚起応答に無関係に抑制した点は我々の予測と異なり、従来の知見を覆す可能性がある。同様にベンゾジアゼピンが低酸素換気応答を末梢性受容体レベルで抑制する可能性を示したことは新しい知見と言える。以上のミダゾラムの作用がGABA受容体による対するものなのか、あるいは異なる機序によるものなのかは今後の検討課題である。また、ミダゾラムが頚動脈小体と頚動脈洞神経との神経伝達に影響を及ぼしたのか、頚動脈小体の酸素感知機構に直接影響を及ぼしたのかは今後に検討すべき重要な課題である。 一方、14年度以前から、海外共同研究者であるLars E.Eriksson教授と共に頚動脈小体に対する筋弛緩剤の影響を調べてきたが、その結果、筋弛緩剤であるアトラクリウムとベクロニウムが、ニコチンにより誘発される頚動脈小体の活性化を抑制することが明らかとなった。GABA受容体とニコチンの受容体であるアセチルコリン受容体の相同性が指摘されているので、筋弛緩剤とベンゾジアゼピンが頚動脈小体の酸素感知機構に共通の機序を持って影響を及ぼす可能性が示唆される。 これらの薬理学的機序を今後も引き続き研究していくことで頚動脈小体の酸素感知機構、神経伝達機構の解明を図っていく。
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Research Products
(1 results)