2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性下部尿路刺激に伴う脊髄内の神経可塑性変化に関する研究
Project/Area Number |
14571482
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Research Institution | Yamagata University school of Medicine |
Principal Investigator |
矢口 博理 山形大学, 医学部, 講師 (60260460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 明 山形大学, 医学部, 講師 (10258618)
舘野 正 山形大学, 医学部, 助手 (00250936)
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Keywords | 脊髄 / 神経可塑性変化 / substance P / c-FOS / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
慢性下部尿路刺激に伴う脊髄内神経可塑性変化を検討する目的で、以下の検討を行った。 1.仙骨神経電気刺激が、下部尿路からの侵害入力に対する影響を検討するために、第1仙骨孔に刺激電極を埋め込んだラットを作成し、下部尿路に対する刺激下に電気刺激の影響を検討した。侵害刺激の指標としては、脊髄内におけるstress markerであるproto-oncoge c-fos由来の蛋白質c-FOSを、免疫組織学的に染色した。本実験で下部尿路からの侵害刺激によって生じる脊髄内のc-Fosは、電気刺激によって生じるc-Fosによって大部分マスクされることが判明した。すなわち下部尿路に対する侵害刺激は、電気刺激によってその脊髄内への入力が抑制される可能性が示唆された。 2.前立腺に急性の侵害刺激を加えた場合、脊髄内でsubstans Pの染色性の増強があるかどうかを確認しさらに交感神経α遮断剤の影響を検討した。substans Pは、侵害刺激による脊髄内における被刺激野の、機能を反映(知覚過敏状態)するものであり、これを指標とすることでα遮断薬の有効性を検討した。本実験により下部尿路の一臓器(前立腺)の急性侵害刺激によっても、脊髄内のsubstans P染色性の増強があり、前立腺に選択性の高いα遮断薬(塩酸タムスロシン)を投与することにより、前立腺侵害刺激後における脊髄内のsubstans Pに対する染色性の増強をある程度抑制することが出来た。この知見は少なくとも前立腺から何らかの炎症伝達が行われている時点においては、α遮断薬は前立腺からの炎症伝達を抑制し得ることを示唆する。 仙骨神経に対する電気刺激、交感神経α遮断薬の投与により、C線維入力が優位となる病態(炎症状態、過活動膀胱など)に対してこれらの治療法が有用である可能性を示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 石郷岡 学 他: "c-Fos Expression in the Spinal Cord After Acute Sacral Segmental Nerve Stimulation"Neurourology and Urodynamics. 21. 495-501 (2002)
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[Publications] 石郷岡 学, 矢口 博理, 他: "Spinal Substance P Immunoreactivity is enhanced by Acute Chemical Stimulation of the Rat Prostate"Urology. 59(1). 139-144 (2002)