2002 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌における血管新生調節因子の発現に関する研究
Project/Area Number |
14571497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 講師 (00281098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲之 京都大学, 医学研究科, 助手 (70343225)
山田 義博 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252464)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
木下 秀文 京都大学, 医学研究科, 助手 (30324635)
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Keywords | 腎細胞癌 / 血管新生因子 / LMO2 / VEGF |
Research Abstract |
我々はヒト固形癌のうち最も血管豊富な癌のひとつである淡明細胞型腎細胞癌を材料として、成人型血管新生の転写制御に関する研究を行った。HIF2α、Ets1、TAL1、Id1、LMO2、GATA2など胎生期血管発生・血管新生に重要な役割を果たす転写因子が淡明細胞型腎細胞癌組織でも発現しており、中でもTAL1、LMO2、Id1の発現は腫瘍組織中の血管内皮細胞に特異的であった。更にこれら転写因子と血管内皮特異的な血管新生因子であるVEGFR2(Flk1)、Angiopoietin2、Tie2の腫瘍組織中での発現パターンを詳細に解析するためにreal-time RT-PCR法で腫瘍組織中、正常腎組織中の発現量を定量した結果、血管量の指標として用いたCD31の発現量と各転写因子、血管新生因子の発現量はよく相関していた。また正常腎組織よりもCD31発現が亢進している腎細胞癌群では亢進していない群と比較して各因子の発現量は亢進していた。腫瘍血管での各因子の発現量を、血管内皮細胞株HMVECにおける発現量と比較するとHIF2α、Ets1、LMO2、Id1、Angiopoietin2の発現が腫瘍血管で亢進していた。更に各転写因子のFlk1、Tie2の転写調節における役割をレポーターアッセイ法で調べた結果、淡明細胞型腎細胞癌組織中で発現の確認された転写調節因子はすべてFlk1の転写活性を高めることが明らかになり、なかでもHIF2α、Ets1、GATA2、TAL1において顕著であった。Tie2ではFlk1ほど顕著でないもののHIF2α、GATA2において転写活性の亢進が認められた。以上のことから、腫瘍血管においても胎生期に重要な働きをする血管新生関連転写因子が働いており、その働きは血管発生・血管新生において最も重視されているVEGF-VEGFR系、Angiopoietin-Tie系の調節に寄与している可能性が示唆された。今後、核転写因子の相互作用についても明らかにしてゆく予定である。
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