2003 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱前癌病変の可逆性変化の分子機構の解明とその促進物質の検出系の開発
Project/Area Number |
14571502
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Research Institution | KAGAWA UNIVERSITY(FACULTY OF MEDICINE) |
Principal Investigator |
乾 政志 香川大学, 医学部, 助手 (40314918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 善行 香川大学, 医学部, 教授 (20214273)
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Keywords | 膀胱前癌病変 / アポトーシス / 発癌抑制 / ガレクチン |
Research Abstract |
前年度は実験的膀胱発癌モデルを用いての検討を行ったが、本年度は主として臨床材料を用いて膀胱前癌病変の不可逆的な癌への進展あるいは抑制に関与する因子について検討した。ガレクチンファミリーは比較的最近になって見出されたβ-galactosideに特異性を示すことを特徴とする動物レクチンの一種で、ガン細胞の転移調節、アポトーシスの誘導、免疫応答の調節などに関与している。ガレクチン-1とガレクチン-3については癌化や癌の悪性度との関連がすでにいくつか報告されている。なかでも、ガレクチン-3は種々の悪性腫瘍においてその発現と転移能との相関が示唆されている。96例の膀胱癌の臨床材料を用いて免疫組織化学染色によりガレクチン-1,3,9の発現を調べた。浸潤癌において、ガレクチン-1の発現は殆ど認められなかったが、ガレクチン-3の発現はすべての症例で認められた。さらにガレクチン-3は悪性度、進達度の高い症例で発現がより強い傾向が認められた。一方、ガレクチン-1は腫瘍細胞塊の周囲の間質での強い発現が認められた。他臓器の悪性腫瘍と同様に膀胱癌においてもガレクチン-3はその発現と転移能との関連が示唆された。ガレクチン-1は腫瘍細胞周囲に発現しており、癌進展への促進因子である可能性も示唆された。また、ガレクチン-9の発現は腫瘍の進達度、細胞の悪性度と負の相関が見られ、粘膜病変のみで異型度の低い細胞では全例に発現しており、癌の進展を抑制している可能性が示唆された。臨床材料での前癌病変の検討は症例が少なく行えていないが、これらの因子が前癌病変を正常化させる因子として作用している可能性が推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Wu X-X, Kakehi Y, Nishiyama H, Habuchi T, Ogawa O.: "Telomerase activity in urine after transurethral resection is not a predictive marker for recurrence of superficial bladder cancer."Int J Urol. 10. 117-118 (2003)
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[Publications] Takahashi A, Tsukamoto T, Tobisu K, Shinohara N, Sato K, Tomita Y, Komatsubara S, Nishizawa O, Igarashi T, Fujimoto H, Nakazawa H, Komatsu H, Sugimura Y, Ono Y, Kuroda M, Ogawa O, Hirao Y, Hayashi T, Tsushima T, Kakehi Y, Arai Y, Ueda S, Nakagawa M.: "Radical cystectomy for invasive bladder cancer : results of multi-institutional pooled analysis."Jpn J Clin Oncol.. 34(1). 14-19 (2004)
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[Publications] Zhang X, Yamashita M, Uetsuki H, Kakehi Y.: "Short-term effects of TNP-470 in combination with cisplatin in the rat model of bladder cancer."In Vivo.. 16(5). 293-297 (2002)