2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌におけるvon Hippel-Lindau(VHL)遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
14571503
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
笠原 高太郎 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (80315001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
執印 太郎 高知大学, 医学部, 教授 (80179019)
井上 啓史 高知大学, 医学部, 講師 (00294827)
山崎 一郎 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40315015)
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Keywords | 腎細胞癌 / VHL遺伝子 / 細胞骨格 / ストレス蛋白 |
Research Abstract |
今回我々は、腎細胞癌の浸潤、転移におけるVHL遺伝子の作用およびストレス下での耐性の変化のメカニズムを明らかにし、VHL遺伝子のターゲットを同定することで腎細胞癌病態解明および細胞骨格関連の遺伝子を利用した治療および新規薬剤開発に貢献することを目指した。 まず我々は、VHL遺伝子の欠損した腎細胞癌を用いて、Wild-type-VHL発現株およびmutantをいくつか作成した。Wild-type-VHL発現株では、細胞増殖が、やや抑えられていた。温度感受性については、Wild-type-VHL発現株で、感受性の低下が見られ、VHL遺伝子の温度感受性因子への影響が示唆された。さらに我々は、これらの細胞株を高温、低温下で培養し、時間的な細胞骨格の変化を蛍光抗体法にて観察した。VHL欠損株、Mutant-VHL発現株では、アクチンのファイバー形成は、早期より分解され、アクチンの凝集が多く見られた。これに対して、Wild-type-VHL株では、アクチンファイバーの形成は、比較的保たれていた。以前に、我々は、アクチンの安定化にVHL蛋白が関わっていることを報告しているが、腎細胞癌においては、ストレス負荷時にも、VHL蛋白は、アクチンを安定化していることが示唆された。 また、VHL遺伝子産物(VHL蛋白)の発現が欠損している786-0腎癌細胞株を親株として用い、Wild-type-VHL遺伝子を導入することで生じる遺伝子発現の変化を、マイクロアレイにより解析した。細胞をコンフルエントに培養した場合、親株およびベクターのみを導入した細胞株では野生型VHL導入株と比較して、calponine2、actin gamma1およびactin gamma2(smooth muscle enteric)等の細胞骨格・裏打ち蛋白質関連遺伝子の増加が認められた。一方、細胞をサブコンフルエントに培養した場合には、Wild-type-VHL遺伝子導入株と比較して親株でtalinやvimentin等の細胞骨格・裏打ち蛋白質関連遺伝子の発現の減少が認められた。
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