2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14571507
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 正貴 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20201858)
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Keywords | 排尿障害 / 遺伝子治療 / 膀胱 / 尿道 / 前立腺 / ムスカリン受容体 / 一酸化窒素(NO) / NOS |
Research Abstract |
近年、排尿機構や尿路平滑筋の生理・病態に対する分子生物学的アプローチにより神経伝達物質受容体やセカンドメッセンジャーの詳細な解析が進んでいる。しかしながらこのような知見は未だ臨床的には充分反映されておらず、今後はこれらの分子を用いてより特異性の高い治療法が求められてゆくと考えられる。本研究では膀胱・尿道機能にかかわるさまざまな神経伝達物の受容体遺伝子などを用い、排尿障害の遺伝子治療の開発を行うことを目的としている。 本年は昨年度に設定したIn vivoでのラット膀胱に対するelectroporationによる遺伝子導入条件をもとにラット棒区へのM3ムスカリン受容体遺伝子の導入を行った。 SDラットを麻酔し、膀胱を露出し、膀胱前面と後面の奨膜下に、27G翼状針を用いてM3ムスカリン受容体遺伝子plasmid DNAを注入後、電極にてelectroporation(45V、50msec duration、1Hz、8pulse)を行った。導入後3日目に麻酔下に膀胱内にカテーテルを挿入し、膀胱機能検査を行った。その後膀胱を摘出し、M3抗体を用いた免疫染色を行うとともに、平滑筋条片を作成して筋浴槽内に懸垂固定して、KCl、carbacholおよび経壁電気刺激膀による平滑筋の反応の変化を検討した。麻酔下での膀胱機能検査ではM3遺伝子を導入された群ではコントロール群に比較して、排尿間隔と排尿時間の有意の延長が確認された。M3ムスカリン受容体抗体を用いた免疫染色で、M3受容体遺伝子の蛋白レベルでの発現が平滑筋層内まで観察され、M3遺伝子導入が膀胱全体に及んでいることが示唆された。さらに、摘出膀胱条片を用いての機能実験では、M3遺伝子導入群でコントロール群に比較して、carbacholおよび経壁電気刺激による収縮力が有意に増加しており、M3受容体を介した反応性が亢進していることが確認された。 今回の検討で、ラット膀胱へのin vivo electroporation法によるM3遺伝子の導入が可能であり、導入された遺伝子が機能的に発現していることが示された。今後は、低活動膀胱モデルの膀胱へのM3遺伝子導入の検討を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 吉田正貴 他: "加齢にともなう膀胱機能の変化"西日本泌尿器科. 65・12. 681-690 (2003)
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[Publications] S.Murakami, M.Yoshida, et al.: "Pharmacological effects of KRP-197 on the human isolated urinary bladder"Urologia Internationalis. 71. 290-298 (2003)
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[Publications] K.Miyamae, M.Yoshida, et al.: "Pharmacological effects of darifenacin on human isolated urinary"Pharmacology. 69. 205-211 (2003)
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[Publications] J.Bade, O.Ishizuka, M.Yoshida: "Future research needs for the definition/diagnosis of interstitial cystitis"International Journal of Urology. 10. S31-S34 (2003)
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[Publications] 吉田正貴, 稲留彰人, 村上滋孝: "下部尿路平滑筋機能に関わる神経伝達物質の薬理学的解析"日本薬理学会雑誌. 121. 307-316 (2003)