2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571508
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
三股 浩光 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60219714)
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Keywords | 外尿道括約筋 / 増殖因子 / シグナル伝達 / MAPキナーゼ / PI3キナーゼ |
Research Abstract |
[目的]尿失禁に対する新たな治療法開発を目的としてヒト外尿道括約筋細胞の増殖制御機構を検討した。 [方法]1)前立腺全摘標本より前立腺尖部に付着する外尿道括約筋を微量採取して細切後、96穴プレートで培養した。初代培養細胞を骨格筋特異転写因子(Myf-5とMyoD)の免疫染色を行い、骨格筋系列の細胞であることを確認した。2)無血清培地下でb-FGF、HGF及びIGF-Iの各増殖因子の外尿道括約筋細胞増殖能に及ぼす影響について検討し、さらにMAPK系阻害薬やPI3K系阻害薬を用いて細胞内シグナル伝達経路について検討した。3)b-FGF刺激後に細胞溶解し、SDS-PAGEで電気泳動後にWestern blotting法でMAPK経路およびPI3K経路の活性化について検討した。 [結果]1)無血清培地および10%FBS培地ではともにb-FGFのみが外尿道括約筋細胞の増殖を促進し、HGFとIGF-1は増殖に影響しなかった。2)MAPK阻害薬のPD98059及びPI3K阻害薬のLY294002とWortmanninは濃度依存性に外尿道括約筋細胞の増殖を抑制した。3)b-FGFは外尿道括約筋細胞のMAPKをリン酸化をし、PD98059によって濃度依存性にリン酸化を抑制された。4)b-FGFはPI3K経路の下流であるAktをリン酸化し、LY294002とWortmanninによって濃度依存性にリン酸化を抑制された。 [結論]b-FGFはMAPK経路及びPI3K経路のリン酸化を介して外尿道括約筋細胞の増殖を促進させたが、他の骨格筋芽細胞で報告されているHGFやIGF-Iでは外尿道括約筋細胞の増殖促進作用はみられなかった。b-FGFは外尿道括約筋損傷による尿失禁治療に対して有用な治療薬となる可能性が示唆された。
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