2003 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚癌の発生に関与する癌関連遺伝子の同定とその臨床応用
Project/Area Number |
14571561
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 隆之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90283754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 豊 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10346215)
中嶌 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70335347)
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Keywords | TSC403 / IGFBP-5 / クロナリティー / 悪性型HPV / LKB1 |
Research Abstract |
(1)既知の癌関連遺伝子の異常の検索 TSC403の過剰発現が認められたのは、子宮頸部前癌病変CINで15症例中1症例、頸癌で35症例中20症例で、TSC403の過剰発現が頸癌発生のlate eventであることが分かった。またinvasion assayやmetastasis assayからTSC403が浸潤・転移に関与すること、さらに臨床症例においてTSC403を過剰発現している症例は過剰発現していない症例に比し有意に予後不良であること(p<0.05)が分かった。 (2)未知の癌関連遺伝子の異常の検索 子宮頸癌と正常頸部の網羅的遺伝子発現解析から、頸癌で特異的に発現増強・減弱している計20遺伝子を同定した。特にIGFBP-5は、免疫組織染色では正常扁平上皮角化層に特異的に発現し、頸癌発生において増殖・分化などに関連した重要な役割を果たすことが分かった。 (3)子宮頸部前癌病変の予後マーカーの同定 子宮頸部前癌病変CINにおいて、悪性型HPV感染を認める症例は認めない症例に比し、またモノクローナルな症例はポリクローナルな症例に比し進行する確率が有意に高いこと(それぞれp=0.024,p=0.009)、さらに悪性型HPV感染を認め、かつモノクローナルな症例はその他の症例に比しさらに有意に進行する確率が高いこと(p=0.003)が判明した。すなわち、子宮頸部前癌病変の予後マーカーとして悪性型HPV感染の有無とクロナリテイーが有用であることが分かった。 (4)悪性腺腫の発生に関与する遺伝子異常の同定 LKBI遺伝子はPeutz-Jeghars Syndrome(PJS)の責任遺伝子であるが、PJSの家系でない悪性腺腫11症例中6症例においても点突然変異が認められ、点突然変異を認める症例は認めない症例に比し有意に予後不良(p<0.05)であり、LKB1遺伝子は悪性腺腫の診断および予後推定に有用であることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 榎本隆之, 中嶌竜一, 上田 豊 他: "Mutations in the STK11 gene characterize minimal deviation adenocarcinoma of the uterine cervix"Laboratory Investigation. 83(1). 35-45 (2003)
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[Publications] 上田 豊, 榎本隆之, 中嶌竜一 他: "Monoclonal expansion with integration of high-risk type human papillomaviruses is an initial step for cervical carcinogenesis : association of clonal status and human papillomavirus infection with clinical outcome in cervical intraepithelial neoplasia"Laboratory Investigation. 83(10). 1517-1527 (2003)