2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期幹細胞移植による、免疫寛容の誘導:新生児異種心移植へ向けての基礎的研究
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14571573
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉永 光裕 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助教授 (00221672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川俣 和弥 国立循環器病センター, 厚生技官
池田 敏郎 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (40315437)
三谷 穣 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (90325788)
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Keywords | 炎症反応 / 臓器再生 / 幹細胞 |
Research Abstract |
目的 炎症反応は臓器再生の初期反応でもあり、以後の反応を含めた再生プロセスがヒトでは充分に働かないため臓器の再生へとつながらない可能性がある。そこで今回我々は、そのバランスを調節することにより傷害を軽くし、再生を起こりやすくするために炎症反応と関連した形で起きる傷害反応と再生反応の解析を行った。さらに、この生体内の再生能力に沿った形で外来性に幹細胞を導入してやることで、通常は起きない臓器再生を可能にすることを目的とした。 方法、結果 幹細胞分化により臓器機能を補償するためには、特定の細胞に分化すれば組織構築はさほど重要でないもの、中程度組織構築が重要なもの、分化後高度な組織構築が必須なものに分けられる。それぞれ、内分泌細胞、心筋、脳のような臓器が対応すると考えられるが、本研究ではまず比較的臨床応用までの距離が短いと考えられる、組織構築をさほど要求しないものから取り組むことにした。実際には膵ランゲルハンス島の人工的な分化系の確立を試みた。倫理的な問題が少なく、免疫機構による排除の問題も、将来的にバンクの利用により回避しうる材料として、骨髄由来細胞を分化させるための細胞として使用した。特許取得の問題から詳細は省くが、マウス骨髄細胞を用い、マウス膵臓組織内にβ細胞を含むランゲルハンス島を作成することにほぼ成功した。 今後の課題 今後は、どのような条件にすればより効率よくβ細胞への分化が誘導でき、かつ数を確保できるのか。膵臓の組織内にそのような因子はあるのかについて検討を行っていく。また、幹細胞側の因子としても、目的の細胞へ分化すれば必ずしも全能性の幹細胞が必要なわけではない。目的に応じた必要にして十分な、そして実際に臨床応用可能な幹細胞の検索が必要である。このような点も検討を行い、さらに、分化誘導した細胞を用いて実際に治療効果を出せるようにどのようにして病的条件下で細胞を導入するべきかについても検討を行いたい。
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