2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵巣におけるIGF結合蛋白プロテアーゼの卵胞発育における生理学的意義
Project/Area Number |
14571581
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岩下 光利 杏林大学, 医学部, 教授 (30124936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝又 木綿子 杏林大学, 医学部, 助手 (00246357)
安藤 索 杏林大学, 医学部, 助手 (10301483)
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Keywords | 卵巣 / 卵胞 / IGF / プロテアーゼ |
Research Abstract |
我々は卵胞液中のIGFBPの動態を解析するため、閉鎖卵胞と発育卵胞から得た卵胞液中のIGFBPをwestern ligand blotで解析した。その結果、閉鎖卵胞液にはIGFBP-2とIGFBP-4が発育卵胞の卵胞液より圧倒的に多いことを確認した。IGFBP-4はIGFの作用を抑制するため、閉鎖卵胞ではIGFの活性が抑制されているために卵胞発育が停止し、一方、発育卵胞ではIGFBP-4を分解するIGFBP-4プロテアーゼが増加するために、IGFBP-4が分解され卵胞液中のIGF活性が高いと推測された。卵胞液中のIGFBP-4プロテアーゼ活性を測定するため、発育卵胞と閉鎖卵胞から得た卵胞液と^<125>I-IGFBP-4を37Cで24時間インキュベートし、IGFBP-4の分解産物をオートラジオグラフィーで解析した。閉鎖卵胞の卵胞液はIGFBP-4を分解しないが、発育卵胞の卵胞液とIGFBP-4をインキュベートすると、IGFBP-4は18Kdaのフラグメントに分解された。以上より、発育卵胞と閉鎖卵胞におけるIGFBP-4の動態の違いは卵胞液中のIGFBP-4プロテアーゼに起因すると考えられた。次に、FSHが顆粒膜細胞からのIGFBP-4プロテアーゼ活性に影響するかどうかを検討するため、体外受精の卵胞穿刺時に得た顆粒膜細胞を培養し、FSHを添加して24時間培養した培養上清と^<125>I-IGFBP-4をインキュベートすると、IGFBP-4はフラグメントに分解されたが、FSHを添加しない培養上清ではIGFBP-4は分解されなかった。以上より、FSHの卵胞発育には卵胞液中のIGFBP-4プロテアーゼ活性を増加させる機序が関与することが明らかとなった。
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