2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト卵巣におけるIGF結合蛋白プロテアーゼの卵胞発育における生理的意義
Project/Area Number |
14571581
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岩下 光利 杏林大学, 医学部, 教授 (30124936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 索 杏林大学, 医学部, 講師 (10301483)
勝又 木綿子 杏林大学, 医学部, 助手 (00246357)
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Keywords | IGF-II / follicular develoment / IGFBP-4 / protease |
Research Abstract |
FSHはヒト卵巣顆粒膜細胞のIGF-II産生を促進し、このIGF-IIがオートクリン機構を介して顆粒膜細胞の増殖、卵胞発育を促進すると考えられている。IGFは生体中ではその大部分が特異的な結合蛋白(IGFBP)に結合して存在するが、このうち、IGFBP-4はIGFの作用を抑制し、閉鎖卵胞液に多く、発育卵胞液には存在しないこと、および、発育卵胞の卵胞液の中にはIGFBP-4は特異的に分解するプロテアーゼが存在し、閉鎖卵胞液には存在しないことが報告されている。我々はFSHの卵胞発育促進作用は局所のIGF-II産生だけでなくIGFBP-4プロテアーゼの活性増加も関与しているのではないかと考え、IGFBP-4プロテアーゼの顆粒膜細胞からの産生制御にFSHが直接関与しているかどうか、また、プロテアーゼにより分解されたIGFBP-4の生化学的・生物学的特性の解析を試みた。ヒト顆粒膜細胞培養系に種々の濃度のFSHを添加し、培養液中のIGFBP-4をimmunoblotで解析すると、IGFBP-4のフラグメントが増加した。また、IGFBP-4プロテアーゼと考えられるPAPP-AをELISAで測定すると、FSHの用量依存性に増加した。培養顆粒細胞にIGF-IIと共にIGFBP-4またはそのプロテアーゼ分解産物を添加すると、IGFBP-4はIGF-IIによる顆粒膜細胞からのエクストラジオール(E2)分泌を抑制したが、IGFBP-4分解産物はIGF-IIによるE2分泌を抑制しなかった。IAsysを用いてIGFBP-4のIGF-IIへの結合を見るとIGFBP-4は高親和性IGF-IIと結合するが、プロテアーゼ分解産物はIGF-IIと結合しなかった。以上の結果から、FSHは卵胞内のIGF-IIを増加させると共に、IGFBP-4のプロテアーゼ活性を増加させることで卵胞内のIGF-II活性を増加させていることが明らかとなった。FSHによる卵胞発育には、このように少なくとも2つの異なる機序が存在すると考えられた。
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Research Products
(1 results)