2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571601
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福田 諭 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 康 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60261301)
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Keywords | 内耳ウイルス感染 / ムンプス難聴 / ムンプス不顕性感染 / 抗ムンプスIgM抗体 / 予防接種 / 突発難聴 |
Research Abstract |
(1)臨床的研究 臨床的研究の軸となっているムンプスウイルス顕性感染による難聴(ムンプス難聴)ならびに不顕性感染によると考えられる難聴(突発難聴)を主体として臨床研究を行った。ムンプス難聴は増加していると考えられた。また抗ムンプスIgM抗体陽性を指標としたムンプス不顕性感染による突発難聴は全突発難聴の8%程度存在する。さらに抗ムンプスIgM、IgG抗体共に陰性であるムンプスウイルスにnaiveな成人も前回の我々の報告とほぼ同等の10%程度存在することも判明した。ムンプス予防接種が任意接種であること、接種率が30%程度であること、ワクチン出荷数も任意接種が開始された1981年と同等の約50万件であることなどより、重要な感覚器である聴覚を守る-難聴予防-という立場からムンプスワクチンによる予防とその啓蒙が必要不可欠であると考えられた。一方、意外な問題点として抗ムンプスIgM抗体長期・低値持続陽性例、健常人(非突発難聴例)での陽性例が少数ながら確認され、特に不顕性感染の礎となるこの測定法の特異度・感度につき新たな見直しが必要になる可能性も示唆された。 (2)基礎的研究 実験動物ではなく、ヒトでの検索を行う主旨であったが、昨年度と同様、時代の流れ-在院日数の短縮化やホスピスなどの出現により当院で死期を看取らない、剖検自体の激減、さらに開頭許可の得られる症例が乏しい、種々の承諾書の必要性-により比較的奥に位置する蝸牛ラセン神経節における剖検例での検索に至らなかった。現実的には貴重な臨床症例から当方が望みうるヒト蝸牛などの深部組織検体を御了解下に提供して頂くことは、なかなか容易でない時代になってきた。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Kanzaki J: "Effect of single-drug treatment on idiopathic sudden sensorineural hearing loss."Auris Nasus Larynx. 30. 123-127 (2003)
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[Publications] Takagi D: "Clinical features of myeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody-associated bilateral progressive hearing loss."Ann Otol Rhinol Laryngol. (in press).
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[Publications] Furuta Y: "Varicella-zoster virus DNA level and facial paralysis in Ramsay Hunt syndrome."Ann Otol Rhinol Laryngol. (in press).
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[Publications] 大谷文雄: "Hunt症候群における第8脳神経症状とVZV再活性化動態"Facial N Res Jpn. 23. 92-94 (2003)
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[Publications] 相澤寛志: "ステロイド療法における血清IgG値の低下は血清抗VZV IgG抗体の有意の変動をマスクする"Facial N Res Jpn. 23. 95-98 (2003)
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[Publications] 黒田 徹: "多発脳神経障害と脊髄根炎を呈したRamsay Hunt症候群の1例"Facial N Res Jpn. 23. 149-151 (2003)
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[Publications] 福田 諭: "医学大辞典 ムンプス難聴.(井藤正男,井村裕夫,高久史磨総編集)(医学書院)"医学書院,(東京). 1 (2003)
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[Publications] 福田 諭: "耳鼻咽喉科薬物療法マニュアル II.耳鼻咽喉科治療薬 11.抗ウイルス薬.(神崎 仁,小川 郁編集)"金原出版(東京). 4 (2003)
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[Publications] 福田 諭: "今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針第2版 4.耳疾患 88.ウイルス性内耳炎.(森山 寛,岸本誠司,小林俊光,川内秀之編集)"医学書院,(東京). 2 (2003)
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[Publications] 福田 諭: "今日の治療指針 26.耳鼻咽喉科疾患 急性中耳炎.(山口 徹,北原光夫総編集)"医学書院,(東京). 2 (2003)