頸動脈合併切除頸部郭清術症例の脳循環に与える内頸静脈切除の影響-主として動的脳循環自動調節能の観点から-

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14571606
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 沼田 勉 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60189355)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 晝間 清 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (30301097)
• Keywords: 頸動脈切除 / 内頸動脈切除 / 動的脳循環自動調節能

Research Abstract

一側頸部郭清術後の3症例において、対側の内頸静脈血行を遮断した際の、頭蓋内血行動態の変化をTCD法を用いて計測した。第1症例においては、対側内頸静脈遮断と同時に中大脳動脈血流速度は7%低下し、その後30秒で遮断前の流速に戻った。critical closing pressure (Pcc)は、25mmHg上昇しその後低下した。脳還流圧は一過性に低下した後、30mmHgの上昇が認められた。第2、3症例においては、対側内頸静脈遮断と同時に、中大脳動脈血流速度は5%低下した。Pccは上昇を示したが、5-10mmHgで第1症例と比較して低値であった。脳還流圧の変化も第1症例と比較して低値であった。対側内頸静脈を圧迫遮断すると、脳からの静脈血は椎骨静脈、深頸静脈を流れる。この際に認められるPccの上昇と脳還流圧の低下はこれらの側副血行路の発達に関連すると考えられる。本研究より、個々の症例において内頸静脈の側副血行路の発達度合を客観的に評価しうる方法であることが示された。