2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571608
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡村 洋沖 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50244372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50282752)
喜多村 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90010470)
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Keywords | 蝸牛 / イオン輸送 / 細胞生物学 / 増感方法論 / Na-K-Cl cotransporter / Furosemide / Cl^-チャンネル / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
蝸牛は骨に囲まれており、その細胞生物学的研究は必然的に脱灰を必要とし、形態の保持と同時に組織における抗原性の維持という相反する条件をいかに乗り越えるかにかかってきた。そのためにまず方法論の改良に取りかかり、反応の増減効果があることが知られている銀を用いることにより、通常の方法ではその存在がは限りしない蝸牛支持細胞への神経の存在を明解なものとすることに成功した。 次いで、上記の方法論を元にして蝸牛におけるイオン輸送経路の検証を行った。これまでの研究で、蝸牛の特殊なイオン環境を維持する為にラセン靭帯に主に局在するイオン輸送関連酵素が重要な役割を有す可能性を示してきた。そこで今回は、これらのうちNa-K-Cl cotransporter (NKCC)に注目し、NKCCを選択的に阻害することが知られているFurosemideを持続的に蝸牛に投与した。その結果、急性期ではこれまでの報告と同様に聴力の低下ならびにEndcochlear potential (EP)の低下を認めた。しかしながら慢性投与によりこれらは回復を示した。その組織化学的観察から、これらの細胞は互いに連絡を取り合い、血管条やラセン靭帯に局在する水チャンネルAquaporinやNa, K-ATPaseを初めとしたイオン輸送関連酵素がその活性を変化させることにより、この部位におけるイオン輸送を正常な状態に戻すように順応し、蝸牛の特殊なイオン環境が維持させることを明らかにした。 また、陰イオン系にも注目し、Cl^-チャンネルの一つであり、その遺伝子の以上はBatter症候群III型を引き起こすことが知られて居るCLC-KBの蝸牛における局在を明らかにすることとした。このため11kbpのヒトCLC-KB遺伝子プロモーターにより発現が誘導されるEGFP遺伝子を導入したトランスジェニックマウス作成を試み、腎組織においてその遺伝子発現の観察に成功した。このことは、蝸牛におけるCLC-KB局在の観察が可能であることを示した。
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[Publications] Katsuki Kobayashi: "Human CLC-KB gene promoter drives the EGFP expression in the specific distal nephron segments and inner ear"J Am Soc Nephrol. 13. 1992-1998 (2002)
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[Publications] Hiro-oki Okamura: "Innervation of supporting cells in the guinea pig cochlea detected in bloc-surface preparations"NeuroReport. 13. 1585-1589 (2002)
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[Publications] Richard A. Schmiedt: "Ouabain application to the round window of the gerbil cochlea : a model of auditory neuropathy and apoptosis"JARO. 3. 223-233 (2002)
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[Publications] Richard A. Schmiedt: "Effects of furosemide applied chronically to the round window : a model of metabolic presbyacusis"J Neuroscience. 22. 9643-9650 (2002)