2003 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ嚢における物質輸送に対する各種ホルモンの影響
Project/Area Number |
14571622
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
柿木 章伸 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (60243820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 泰三 高知大学, 医学部, 教授 (50115763)
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Keywords | 内リンパ嚢 / 物質輸送 / ラット |
Research Abstract |
内リンパ嚢における物質輸送に対する各種ホルモンの影響を検討するためには、実験動物としてラットを用いることが各種レセプターに対する抗体などの面から望ましいと考え、平成15年度はラット内リンパ嚢を用いて物質輸送を検討した。 内リンパ嚢物質輸送を検討するにあたり2種類の実験を行った。使用動物はSDラットとした。第1の実験として、ガラス細管により人工内リンパ嚢液に溶かしたトレーサー(HRP)を内リンパ嚢に注入した。30分後に内リンパ嚢を摘出し、2%グルタールアルデヒドと2%パラホルムアルデヒド(0.1Mリン酸緩衝液、PH7.3)で1時間固定した、組織は緩衝液で洗浄後、DAB反応後、1%オスミウム酸による後固定を行った。標本を透過型電子顕微鏡で観察した。第2の実験として、全身麻酔下に、後頭開頭により内リンパ嚢を摘出し、人工内リンパ嚢液に溶かしたトレーサー(HRP)を含む培養液中で30分間培養した。その後、第1の実験と同様の固定を行い、標本を透過型電子顕微鏡で観察した。結果を以下に述べる。第1の実験系では、SDラットの内リンパ嚢がモルモットと比べ小さく、側頭骨内にその大部分が存在しているため、十分なトレーサーの注入ができないことがわかった。第2の実験系では、トレーサーは内リンパ嚢上皮の表面には付着するが、細胞内への取り込みは認められなかった。この結果から、ラットではモルモットで観察されたような活発な物質取り込みは行われていないことが示唆された。今後の課題としては、内リンパ嚢の機能解明のためには、内リンパ嚢上皮に存在する各種のレセプターを免疫組織化学的手法を用いて検索し、これらのレセプターに対するリガンドを加えた後の物質取り込みの状態を検討する必要がある。
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