2003 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球性副鼻腔炎および中耳炎の病態に関する分子生物学的解析
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14571625
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
増山 敬祐 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30181663)
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Keywords | 好酸球 / 中耳炎 / 副鼻腔炎 |
Research Abstract |
上気道の副鼻腔および中耳腔における難治性好酸球性炎症の病態解明を目的に、好酸球性中耳炎症例における鼻茸合併例において、鼻茸中に発現するサイトカイン・ケモカインのメッセージの発現を半定量し、好酸球浸潤との関係を検討した。 昨年の検討で、IL-5の発現は100%に認められていたが、Eotaxinの発現は53%の症例のみであった。また、鼻茸再発群でEotasinの発現がみられた症例においては、Eotaxinの初期発現量と好酸球浸潤の割合との間に有意な相関がみられた。前回の問題点は、鼻茸の各部位ごとで組織学的特徴が異なり、好酸球の浸潤にもばらつきがみられることであった。今回は、同一鼻茸を用いて、好酸球浸潤が異なる部位でのIL-5、Eotaxinの発現をしらべ、好酸球浸潤との相関を検討した。同一鼻茸においては、好酸球浸潤の程度は部位により異なることが確認された。また、IL-5とEotaxinのメッセージの発現も好酸球浸潤の程度に応じて異なることが示され、同一鼻茸においては好酸球浸潤とIL-5およびEotaxinのメッセージの発現は正の相関を示した。以上より、IL-5およびEotaxinのメッセージの発現は両者とも鼻茸中の局所の好酸球浸潤の程度を正確に反映していることがわかった。 一方、好酸球性中耳炎に伴う難聴については、ウエーゲナー肉芽腫症あるいは気管支喘息を合併する肺好酸球症に伴う症例もあることが推察された。PIE症候群として分類されるこれらの疾患群のなかにはChurg-Strauss症候群も含まれ、全身性血管炎が一部好酸球性中耳炎の病態に関与している可能性を示唆するものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 後藤英功, 増山敬祐ほか: "難聴を主訴とした限局型Wegener's granulomatosisの一症例"Otol Jan. 12(5). 595-599 (2002)
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[Publications] 石川 哮, 宗 信夫, 増山敬祐: "アレルギー性鼻炎QOL調査票の開発.第2編 通年性アレルギー性鼻炎を対象としたQOL調査"アレルギー. 52(補1). 57-69 (2003)
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[Publications] 増山敬祐: "通年性アレルギー性鼻炎の病態とそれに基づく薬物療法"山梨医科学誌. 18(3). 37-45 (2003)
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[Publications] 増山敬祐: "研修ノート スギ・ヒノキ花粉症の薬物治療のコツ"耳鼻臨床. 96(12). 1110-1111 (2003)
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[Publications] 上條 篤, 増山敬祐: "耳鼻咽喉科における日帰り手術・短期入院手術(1)鼻茸切除術"耳喉頭頸. 76(1). 69-73 (2004)
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[Publications] 増山敬祐: "鼻ポリープの病態と治療"鼻アレルギーフロンティア. 4(1). 22-25 (2004)
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[Publications] 増山敬祐(分担): "先端医療シリーズ19.第4章アレルギーの病態に関する最近の知見 4.上気道とアレルギー"狩野庄吾、中川武正編集主幹、先端医療技術研究所. 473 (2003)