2003 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺末分化癌の分子シャペロンを用いた化学療法の応用
Project/Area Number |
14571628
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
家根 旦有 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (40220199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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Keywords | 甲状腺末分化癌 / 分子シャペロン / グリセロール / p53遺伝子 / DNAマイクロアレイ / シスプラチン / 化学療法 / 放射線療法 |
Research Abstract |
本研究では甲状腺未分化癌に対する新しい治療方法として、p53研遺伝子をターゲットとしたグリセロールを用いた分子シャペロン治療を開発することを目的とした。グリセロールを用いた分子シャペロン治療は、遺伝子を直接操作するのではなく、遺伝子変異によって障害された蛋白の機能を本来の機能に戻すことを目的とする。つまり変異型p53蛋白の機能を正常型p53蛋白に戻すことによって、抗癌剤や放射線の感受性を回復させようというものである。in vitro実験ではすでに変異型p53遺伝子を持つ甲状腺未分化癌においてグリセロールが抗癌剤(シスプラチン)の効果を増強させることが認められており、今回はヌードマウスによる移植腫瘍を用いたin vivo実験を行った。結果は、シスプラチンにグリセロールを併用した移植腫瘍は増殖の抑制が認められ、免疫組織学的にもactive caspase3、PARP、apopTag染色でコントロールに比べて強い陽性が認められた。以上の結果から、グリセロールを用いることによって変異型p53を持つ癌細胞でもアポトーシスに誘導されたものと判断した。さらに、これら分子シャペロンのメカニズムを解明するためにDNAチップとプロテインチップを用いて、mRNAレベルとタンパクレベルでの変化の解析を行った。結果はDNAチップを用いた解析ではグリセロールを用いることによってアポトーシス抑制系のTRAF2、NIK、IKK、NFkB、IAPの発現抑制が確認された。またプロテインチップでも、グリセロールを併用すると多くの蛋白発現が抑制され、NFkB系蛋白の発現抑制がみられた。しかしDNAチップとプロテインチップでも、アポトーシス促進系の低下がみられたことから、アポトーシスへの誘導はアポトーシス促進系と抑制系のバランスによってコントロールされているものと考えた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yuki, K., Yane, K., et al.: "Glycerol enhances CDDP-induced growth inhibition of thyroid anaplastic carcinoma tumor carrying mp53 gene."Oncology Reports. (In press). (2004)
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[Publications] Ohnishi, K., Ota, I., Yane, K., et al.: "Glycerol as a chemical chaperone enhances radiation -induced apoptosis in anaplastic thyroid carcinoma cells."Molecular Cancer. 1. 4 (2002)
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[Publications] Ohnishi, K., Ota I., Yane, K., et al.: "Transfection of mutant p53 gene depresses X-ray- or CDDP-induced apoptosis in a human squamous cell carcinoma of the head and neck."Apoptosis. 7. 367-372 (2002)
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[Publications] 家根旦有 他: "DNAマイクロアレイを用いた放射線誘導アポトーシスの遺伝子解析"癌の臨床. 48. 324-327 (2002)
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[Publications] 幸 和恵, 家根旦有 他: "ヒト扁平上皮癌細胞移植マウスを用いた化学シヤペロン治療の検討"耳鼻免疫アレルギー. 20(2). 154-156 (2002)