2002 Fiscal Year Annual Research Report
SCIDマウスを用いた病巣性扁桃炎の発症機序に関する研究
Project/Area Number |
14571629
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤原 啓次 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80326371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
九鬼 清典 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (40169975)
|
Keywords | 掌蹠膿疱症 / 扁桃病巣感染症 / 熱ショック蛋白 / DnaK抗体 / GroEL抗体 / SCIDマウス / ELISA法 |
Research Abstract |
<はじめに>掌蹠膿疱症(PPP)の発症機序として、扁桃においてリンパ球が熱ショック蛋白(Heat shock protein : HSP)により感作され、その結果産生された抗熱ショック蛋白抗体や感作リンパ球が掌蹠に膿疱を発症させる自己免疫疾患ではないかと考えた。<方法>本年の研究ではPPP患者から同意を得た上で採取した末梢血、足底の正常部位の皮膚、摘出扁桃を用いた。SCIDマウスには1)扁桃リンパ球と皮膚2)扁桃リンパ球のみ3)末梢血リンパ球と皮膚4)末梢血リンパ球のみ5)皮膚のみをそれぞれ移植した5群に分けて、移植後4週間後にSCIDマウスから採取した血清中の細菌性HSP70であるDnaKに対するIgG抗体、細菌性HSP65であるGroELに対するIgG抗体をELISA法にて測定した。<結果>抗DnaK抗体価は、扁桃リンパ球と皮膚を移植した1)群では、6例中3例で150-250Pg/mlの高値を示した。末梢血リンパ球と皮膚を移植した3)群では、4例中1例で5.3Pg/mlと低値であった。他の2)4)5)群では検出されなかった。抗GroEL抗体は、扁桃リンパ球と皮膚を移植した1)群では、6例中4例で抗体を認めた。1例は316単位と高値であった。(ヒトのPool血清中の抗体価を1000単位とした場合)末梢血リンパ球と皮膚を移植した3)群では、4例中1例で6.9単位と低値であった。他の2)4)5)群では検出されなかった。<考察>扁桃で細菌の熱蛋白を認識していると考えられる扁桃リンパ球により、SCIDマウス内で抗HSP抗体が検出されたことは興味深い。おそらく、SCIDマウス内に移植した掌蹠皮膚に共通抗原性を持つHSPに刺激されたものであろうと考えられる。さらに、掌蹠皮膚に浸潤したリンパ球について免疫染色を行い、T、B細胞のサブタイプの同定、TCR repertoriesの解析について進めたいと考えている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 林 正樹, 藤原啓次, 九鬼清典, 山中 昇: "扁桃、皮膚におけるHeat Shock Protein 72 (HSP72)の発現について"耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 19/2. 120-121 (2001)
-
[Publications] 後藤啓次, 林 正樹, 九鬼清典, 山中 昇: "アデノイド上皮におけるサイトケラチンの発現について 滲出性中耳炎合併群と非合併群における比較検討"耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 18/2. 50-51 (2000)
-
[Publications] 後藤浩伸, 斎藤匡人, 九鬼清典, 山中 昇: "扁桃におけるco-stimulatory factorの検討(第二報)"耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 18/2. 124-125 (2001)
-
[Publications] 林 正樹, 藤原啓次, 九鬼清典, 山中 昇: "扁桃病巣感染症における熱ショック蛋白に関する研究"耳鼻咽喉科兔疫アレルギー. 20/2. 96-97 (2002)
-
[Publications] 後藤浩伸, 斎藤匡人, 九鬼清典, 山中 昇: "口蓋扁桃の加齢による免疫応答の変化-co-stimulatory factorの観点から-"耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 20/2. 90-91 (2002)
-
[Publications] 藤原啓次, 島田 純, 山中昇: "エビデンスに基づいたエアロゾル療法 鼻副鼻腔検出菌とエアロゾル療法について"耳鼻咽喉科展望. 45/補1. 41-45 (2002)