2002 Fiscal Year Annual Research Report
誘発耳音響放射による語音モデル刺激に対する内耳の応答性と老化現象に関する研究
Project/Area Number |
14571634
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
芳川 洋 順天堂大学, 医学部, 助教授 (50133327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 由紀子 順天堂大学, 医学部, 助手 (10327843)
中村 昇太郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (70245752)
西嶋 隆 順天堂大学, 医学部, 助手 (80266022)
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Keywords | 誘発耳音響放射 / 複合音刺激 / 加齢変化 / 自発耳音響放射 / 歪成分耳音響放射 |
Research Abstract |
本学耳鼻咽喉科学教室に現有の耳音響放射記録装置ILO292システムを用いて、誘発耳音響放射および聴性誘発反応に適した母音・子音に相当する刺激音の合成・作成をおこなった。誘発耳音響放射はクリック刺激の場合8〜10ms程度の潜時をもって記録されるが、刺激音の持続時間がこれ以上の時間におよぶと刺激音と耳音響放射が重複してしまうため、現有のシステムにおいては各母音のフォルマント構成周波数に相当する中心周波数を有するトーンピップを合成することで母音のモデルを作成した。記録される誘発耳音響放射が刺激音である複合トーンピップの各々の中心周波数に一致する周波数のエネルギ-を忠実に反映していることが確認された。また、反応波形は個体特異的かつ刺激音特異的であり、同一個体での再現性が極めて高いことが確認された。現在、肉声をデジタル処理することで複合トーンピップに代わる刺激音の作成に取り組んでいる。 また、複合音に対する誘発耳音響放射の加齢や内耳障害における変化を検討する上で、一般的に用いられているクリック(周波数帯域の広い刺激音)に対する誘発耳音響放射の同様の群での変化を把握しておく必要があるため、剣道経験者を含む20歳代から60歳代までの明らかな耳疾患の既往のない群で記録を行った。データ収集には本研究の設備備品申請によるデジタルデータレコーダを用いた。年齢が高い群ほど自発耳音響放射の検出率が低下し、誘発および歪成分耳音響放射において高周波成分のエネルギーが低下する傾向が確認された。また、標準純音聴力検査においてdip型の聴力閾値上昇が認められた若年成人においては誘発耳音響放射と歪成分耳音響放射との間に相関があることが確認された。さらに自発耳音響放射が存在する場合にはその周波数近傍で誘発耳音響放射のパワースペクトルに変化がみられるが、同様の現象が歪成分耳音響放射の入出力関係においても存在することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西嶋 隆: "成人と新生児・乳児における各種耳音響放射の相互関係について"Audiology Japan. 46・1. 66-73 (2003)
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[Publications] 藤本由紀子: "剣道経験者における標準純音聴力検査結果と耳音響放射との関係"Audiology Japan. 46・1. 57-65 (2003)
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[Publications] 芳川 洋: "誘発耳音響放射と歪成分耳音響放射の周波数対応性の検討"Audiology Japan. 45・5. 429-430 (2002)
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[Publications] 西嶋 隆: "DPOAEの入出力曲線とSOAEの関係"Audiology Japan. 45・5. 427-428 (2002)
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[Publications] 芳川 洋: "シンポジウム「耳音響放射の基礎と臨床」健常者の耳音響放射"日本耳鼻咽喉科学会会報. 105・5. 346 (2002)