2002 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞の慢性副鼻腔炎における炎症を誘導する細胞としての重要性の解明
Project/Area Number |
14571643
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
野中 学 日本医科大学, 医学部, 講師 (70271351)
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Keywords | 線維芽細胞 / RANTES / eotaxin / synergy |
Research Abstract |
健常な鼻の組織と肝の組織や慢性炎症を伴った鼻組織(鼻茸)や肺組織(線維化肺)より線維芽細胞を単離した。これら線維芽細胞が菌体成分(グラム陰性菌のLPS,グラム陽性菌のPeptidoglycan (PGN), Lipoteicoic acid (LTA))と直接反応するか検討した。鼻由来線維芽細胞は炎症の有無に関わらず、すべての菌体成分と反応しRANTESを産生・遊離した。一方、肺由来線維芽細胞は健常なものでは、菌体成分に反応しなかったが、線維化肺由来の線維芽細胞はLPS刺激に対してRANTESのmRNAを誘導した。RANTESの蛋白の遊離はみられなかった。肺由来線維芽細胞はGNやLTAに対して反応はいまのところ認められていない。 次にLPSと種々のサイトカインを組み合わせて線維芽細胞を刺激した。LPSとIL-4の同時刺激で、eotaxinが相乗的に鼻由来線維芽細胞から産生された。産生量は炎症の有無に関わらず同程度認められた。この相乗的eotaxinの産生は健常な肝由来の線維芽細胞では認められなかった。健常は皮膚由来の線維芽細胞では認められた。鼻由来線維芽細胞と皮膚由来線維芽細胞を比較すると鼻由来線維芽細胞の方が強い相乗効果が認められた。線維化肺由来の線維芽細胞では今後検討する予定である。 この結果から、細菌感染と密接な関係にある慢性副鼻腔炎において、IL-4の発現が鼻・副鼻腔粘膜で亢進する病態があると線維芽細胞からeotaxinが相乗的に産生され、鼻・副鼻腔粘膜に好酸球が浸潤するという機序が推察される。
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