2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による新しい緑内障モデルの開発と視神経障害因子の解明
Project/Area Number |
14571669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 講師 (80243020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 康人 科学技術振興事業団, 若手さきがけ, 専任研究者
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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Keywords | 緑内障モデル / 遺伝子導入 / 視神経障害 / マイクロアレイ / HVJ-Envelopeベクター |
Research Abstract |
本研究においては,まずラットにおける新しい緑内障モデルの開発のために,ラット隅角,線維柱帯に対する遺伝子導入を試みた.遺伝子導入ベクターとして安全,簡便なnon-viral vectorで,他の組織で良好な導入効率の報告されているHVJ envelopeベクターを採用した.導入遺伝子はバックボーンに,遺伝子発現期間を持続しうるEB virus replication originをもち,CMVプロモーター下にreporter geneを組み込んだものを使用した.投与対象であるAdult wistar ratを,点眼群,前房注入群,硝子体投与群の3群にわけ,異なる投与経路による眼組織への遺伝子導入効率を観察した.点眼投与では最終観察時期である投与後4週間まで,結膜に良好な遺伝子発現が認められた。それに対して,前房注入,硝子体注入では,投与後4週間の経過中,コントロール眼との間に遺伝子発現の有意差は認められなかった.HVJ envelopeによる遺伝子導入では,眼内には有意な遺伝子発現が認められず,この方法による緑内障モデルの作製は困難であると考えられた.簡便性ではnon-viral vectorに劣るが,導入効率では勝るとされるviral vectorによる遺伝子導入を今後,試みる予定である. HVJを使用した遺伝子導入が困難であったため,過去に使用されているラット緑内障モデルを数種作製,眼圧上昇の再現性を確認した.その中で,ラットのepiscleral veinの結さつモデルが眼組織への障害が少なく,比較的安定した眼圧上昇を示した.眼圧上昇は最終経過観察時期である処置後3ヶ月でも認められ,上丘への蛍光色素の注入により網膜神経節細胞がコントロール眼の60〜70%に減少していることが確認された.そこで,同時期の網膜および視神経乳頭組織よりmRNAを抽出後,cDNAを増幅した上で,DNAマイクロアレイ法により遺伝子発現の変動を確認した.現在,コントロール眼との間に有意な発現の差を認めた幾つかの遺伝子について解析をおこなっている.
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