2002 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障における網膜内ニューロン・グリア干渉機構の解析
Project/Area Number |
14571672
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
根木 昭 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (00189359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (80273788)
|
Keywords | 緑内障 / 高眼圧 / 網膜神経節細胞 / アポトーシス / グリア / GFAP |
Research Abstract |
生後8ないし12週の雄Sprague Dawleyラットの3本の上強膜静脈を焼灼し、高眼圧モデルを作製した。ウレタン麻酔下で経時的に眼圧をトノペンで測定し、眼圧上昇を確認した。処置後、3,7,14,28,60日目に、ラットを安楽死させ、眼球を摘出して、網膜伸展標本またはクライオスタット切片を作製した。一群では,TUNEL (terminal dUTP nick end labeling)染色を行ってアポトーシス細胞の出現頻度を、他群では、抗GFAP抗体を用いた蛍光免疫染色を行った。前者にて網膜神経節細胞のアポトーシスの量的変化をカウントし、後者にてグリアの活性変化を網膜内の局在分布の変化として捉えた。伸展標本にて障害の水平的な分布を、薄切切片にて障害の網膜層別・層間の拡がりを検討した。上強膜静脈焼灼後、3日で眼圧は46.5±15.2mmHgと上昇し、経時的に低下したが、2ヶ月後も24.7±8.9mmgと、対照眼(15.1±7.3)に比べ有意に高値を維持した。眼圧上昇1週間、1ヶ月、2ヶ月後にそれぞれ、102.8±33.6,79.7±18.4,62.4±19.7/0.5cm2のTUNEL陽性細胞が出現し、対照眼に比べ(それぞれ5.2±1.2,7.8±2.3,6.4±2.2/0.5cm2),有意に多かった(P<0.001)。一方、対照眼では、GFAPはアストロサイトが発現し、ミュラー細胞は発現していなかったのに対して、眼圧上昇3日後に、この発現パターンは逆転した。そして、2ヶ月後に、アストロサイトでの発現が再度見られるようになった。 眼圧上昇ストレスによって、グリア細胞の中で、アストロサイトとミュラー細胞は、異なる挙動を示し、網膜神経細胞は眼圧変化に一致して、アポトーシスを起こしていることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)