2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いた網膜変性症の定量的網膜電図解析と組織学的検討
Project/Area Number |
14571676
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 純信 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30336028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛松 省三 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40164008)
坂本 泰二 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10235179)
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Keywords | 網膜色素変成症 / CMYCマウス / 網膜電図 / 杆体細胞 / 細胞変性 / 光遮断 / 網膜内層 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
目的と方法:錐体-杆体ジストロフィ症モデルのCMYCマウスと杆体細胞系が早期より障害されるrcsラットでの網膜機能障害を網膜全般の現象と捉え網膜変性疾患の病態を明らかにする目的で、平成14年、15年と研究を行い、1)CMYCマウスの錐体細胞系ON型、OFF型双極細胞の機能が1ヶ月では正常に近いが、6ヶ月では反応が消失する、2)ミューラー、アマクリン細胞の機能変化が正常マウスより1ヶ月目から低下する、3)3ヶ月間の暗所飼育マウスの網膜機能は杆体、錐体細胞系とも通常飼育マウスより保たれている、4)rcsラット網膜に、ウィルスベクターでFGFやその他の神経成長因子の遺伝子を導入したところ、長期間の機能温存を認める(Ikeda et al.,2003;Miyazaki et al.,2003)、などの結果を得た。本年度は、これらの結果を基に、生後1ヶ月の暗所飼育のCMYCマウスにSIVウィルスベクターでPEDFとFGF2遺伝子を導入し、網膜変性遅延の可能性を電気生理と組織学的変化で探った。結果:暗所飼育ベクター導入群の網膜機能は、杆体系、錐体系、網膜内層全てで通常飼育群より有意に改善が認められた。しかし、ベクターを導入しなかった暗所飼育群と比較すると、網膜電図の振幅や組織変性が保たれている傾向があったものの、有意差は認めなかった。考察:本年度の実験では、CMYCマウスの暗所飼育による網膜細胞変性の遅延(抑制)効果があったが、ベクターによる遺伝子導入効果は明らかでなかった。遺伝子導入法に関しては、現在眼科と共同研究を行なっており、手技等の改善により新しい治療法として近い将来確立できると思われる。本研究を通して、今までその詳しい病態や治療法のなかった網膜変性症に対し、初期からのサングラス等による光からの防御や遺伝子治療の可能性を提言できたことは、将来の網膜変性症治療への応用に向けて有意義な結果であったと考える。
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Research Products
(5 results)