2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境が涙液動態に及ぼす影響の人工気候室を用いた基礎研究
Project/Area Number |
14571683
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60191491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00264755)
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Keywords | 環境 / 涙液動態 / 人工気候室 / ドライアイ / ビデオメニスコメトリー法 / 涙液スペキュラー / 温度 / 湿度 |
Research Abstract |
ソフトコンタクトレンズ(SCL)を装着すると、その表面から涙液の蒸発が亢進する。事実、SCL装用者は、エアコン下の環境や冬期に、乾燥、充血といったドライアイ症状を訴える。そこで、本年度は、SCL装用眼をモデルシステムとして、各種の環境条件を人工気候室下で作成し、SCL上の涙液動態や乾燥感の出現の有無を調べることによって、環境が涙液に与える影響について検討した。被験者は、SCLの終日装用者とし、人工気候室に、温度、湿度異なる各種の環境条件(温度;湿度)環境を作成した。環境条件としては、(1)(15℃;20%)、環境(2)(25℃;40%)、環境(3)(35℃;50%)を作成し、含水率の異なるSCL、すなわち、高含水のSCL(含水率:72%)のa群と低含水のSCL(含水率:37.5%)のb群を装用させて、比較検討した。評価方法としては、SCL装用時の涙液貯留量を新しく開発したビデオメニスコメトリー法で検討し、SCL上の涙液動態をDR-1^<【○!R】>(興和社製)によるスペキュラー像観察およびNIBUT (Non-invasive break up time)]の測定によって評価し、乾燥感を問診(0〜3でスコア化)して、比較検討した。その結果、涙液貯留量は、環境による影響を受けなかった(P>0.05)、NIBUTは、低温、低湿の環境条件下で短縮した[(a群:(1)2.7±1.7秒;(2)5.4±4.2秒;(3)8.0±3.3秒),(b群:(1)2.8±3.1秒;(2)6.9±2.8秒;(3)7.6±3.4秒)(平均値±標準偏差)]。また、乾燥感の訴えは、低温、低湿で増強し、環境(1)では、高含水コンタクトレンズで有意に大きかった(P<0.05)。[(a群:(1)1.1±0.8;(2)0.4±0.5;(3)0.2±0.4),(b群:(1)0.3±0.5;(2)0.1±0.3;(3)0.0±0.0)]。以上より、本年度の研究により、SCL表面上の涙液は低温・低湿で不安定化し、装用者の乾燥感が増強することが判明した。また、この傾向は、低含水より高含水SCLで顕著であることが明らかになった。
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