2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性ぶどう膜炎における眼内液中のウイルス転写産物の解析
Project/Area Number |
14571687
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 靖恭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90193119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
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Keywords | ウイルス性ぶどう膜炎 / 眼内液 / 転写産物 / サイトメガロウイルス網膜炎 / 急性網膜壊死 |
Research Abstract |
サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎および急性網膜壊死(ARN)を主としたウイルス性ぶどう膜炎症例の前房水および硝子体液を収集し、解析を行った。LightCyclerを用いたリアルタイムPCRよる解析では、CMV網膜炎患者の前房水中に抗ウイルス薬治療前にはCMVゲノムは10^1〜10^4コピー/μl存在し、網膜炎の範囲、活動性と相関していた。CMVゲノムコピー数は抗ウイルス薬の治療により急速に減少したが、症例によっては長期に微量のウイルスゲノムが検出された。また、ARN症例では、抗ウイルス薬治療前の前房水中に水痘帯状庖疹ウイルス(VZV)ゲノムは1.6x10^3〜1.1x10^6コピー/μl存在し、病変の範囲、進行度によって異なっていた。VZVゲノムコピー数は抗ウイルス薬治療により急速に減少したが、減少の程度は症例によって異なっていた。硝子体中には前房水に比して、約5倍のウイルスゲノムが存在していた。また、眼底病変を伴わないVZVぶどう膜炎患者の前房水の検索では、VZVゲノムは4.9×10^6コピー/μl存在し、ARNと同程度以上のゲノムコピー数が存在していた。本例では前眼部主体の炎症が生じていたため、多数のウイルスゲノムが前房水中に存在していたものと考えられた。CMV網膜炎が鎮静化した後、免疫能の改善により生じたimmune recovery uveitis症例の硝子体の検索では、CMVゲノムは検出されなかったが、硝子体中に高い濃度のCMV抗原が検出された。硝子体中のCMV抗原に対する免疫反応がimmune recovery uveitisの病因と考えられた。このCMV抗原の性状について、今後検索する予定である。現在、NASBA、RT-PCRを用いた転写産物の解析系を作成し、これらの症例の転写産物と病気の活動性との関係について検索中である。
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