2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性ぶどう膜炎における眼内液中のウイルス転写産物の解析
Project/Area Number |
14571687
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 靖恭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90193119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
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Keywords | ウイルス性ぶどう膜炎 / 眼内液 / LAMP / 急性網膜壊死 |
Research Abstract |
本研究では、眼内ウイルス性疾患を迅速にかつ定量的に診断し、これらの疾患の治療において有用となる検査法の開発を試みてきた。LAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification)法は、迅速、簡易、精確な増幅法として近年本邦において開発された遺伝子増幅法で、標的遺伝子の6箇所の領域に対してプライマーを設定し、鎖置換反応を利用し一定温度で反応させることを特徴とする。増幅効率が高く、一定温度においてDNAを15-60分で10^9-10^<10>倍に増幅することができ、その極めて高い特異性から増幅産物の有無で目的とする標的遺伝子配列の有無を判定することができる。本研究においてはVZV(水痘帯状疱疹ウイルス)を標的としたLAMPを用いた解析で、急性網膜壊死(ARN)症例の前房水および硝子体液で高感度にVZV DNAを検出することができた。この結果はLightCyclerを用いたリアルタイムPCRよる解析結果と相関したが、ゲノムコピー数が10コピー未満の検体は陰性であり、従来の方法に比し微量のウイルスゲノムのみが存在する検体が陰性となってしまう問題が残っている。DNA抽出操作を行わなくても1検体を除きVZV DNAが検出され、DNA抽出を行った場合と比較し同等の検出感度であった。検出できなかった検体は硝子体液で、VZV DNAコピー数が少なく、硝子体線維に感染細胞が捕捉されていた、あるいは検体中の蛋白成分が多く増幅が阻害された可能性が考えられた。しかし、このような症例での迅速診断は臨床的にはそれほど必要性がないと考えられる。定量性については、LAMP法は半定量的であり、LightCyclerを用いたリアルタイムPCRと比較すると定量性は乏しかった。LAMP法によるウイルスDNA解析は簡便な装置でごく短時間で検索可能であり、眼科領域での臨床応用への可能性が示された。
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