2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境温度および非電離線曝露による眼内温度と眼傷害の関係
Project/Area Number |
14571691
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小島 正美 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40183339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 勉 (独)産業医学総合研究所, 主任研究員 (90332395)
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Keywords | 眼内温度 / 眼炎症 / 白内障 / 赤外線A(IRA) / 赤外線B(IRB) |
Research Abstract |
赤外線曝露と白内障の関連 500Wキセノンランプを光源に紫外線カット、赤外線透過バンドパスフィルターで赤外線A波(以下IRA)を抽出し、有色家兎の片眼のみに曝露した。赤外線C波(IRC)の線源として炭酸ガスレーザーを使用し、家兎の片眼に曝露した。両赤外線曝露による前眼部の急性障害の有無、経時変化について前眼部画像解析装置を駆使して観察・解析した。また、赤外線の熱によって生じる眼内の炎症は瞳孔径の変化およびフレア上昇より定量した。上記の実験の結果、赤外線A波曝露では眼瞼に浮腫を来たし、瞼裂を閉じることにより眼内へIRAが侵入しないことにより水晶体は透明性を維持した。IRC曝露では曝露開始直後より重篤な角膜傷害を生じたが、水晶体は透明性を維持した。 IRAまたはIRC曝露による眼内温度変化の検討 全身麻酔下の家兎眼内(前房、水晶体、硝子体、眼窩内)に蛍光式温度測定プローブ(直径0.5mm)を設置後、赤外線A波またはC波を家兎の片眼のみに曝露して、曝露中の眼内温度の変化を測定した。IRA曝露では眼瞼部の温度は曝露開始直後より、50-65℃まで上昇したが、前房内温度は曝露開始5分後より実験終了時まで39-41℃を示した。硝子体温度は38.6±0.1℃、眼窩内球後38.2±0.1℃、直腸内37.9±0.2であった。一方、IRC曝露では曝露開始前の眼内各部位の温度は、眼窩内球後>硝子体>前房、虹彩後面≧前房、虹彩の前面の順に高かった。曝露開始直後より前房内上方、および下方2測定点の温度は急速に上昇し41-42℃に達した。硝子体の温度は前房より遅れて徐々に上昇したが、40℃を超える例はなかった。眼窩内温度は曝露中でもほとんど変化は見られなかった。 本年度研究の結論:IRA, IRC曝露によりともに一過性の眼障害は誘発されるが、急性毒性では白内障は生じない。
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[Publications] M.Kojima, I Hata, T.Okuno, et al.: "Infrared cataract and intraocular temperature"Photomedicine and Photobiology. 24. 73-74 (2002)