2003 Fiscal Year Annual Research Report
先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児期薬剤治療の研究:アドレノメデュリンの効果
Project/Area Number |
14571702
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌田 振吉 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40161202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター, 研究新生化学部, 部長 (00112417)
臼井 規朗 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30273626)
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Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / アドレノメデュリン / 肺発生 / ナイトロフェン |
Research Abstract |
先天性横隔膜ヘルニア(以下CDH)を始めとする高度の肺低形成を合併する疾患の予後は、様々な治療法の確立にも拘わらず依然極めて不良である。本病態に対する治療の研究は、肺の胎生期および新生児期の発育をいかに促進し得るかという点に集約されるが、そのためには肺血管床の分化・発育、増生も重要な因子であると考えられている。我々は強力な血管拡張作用を有すると同時に、種々の臓器の器官発生への関与が示唆されているアドレノメデュリン(以下AM)の肺発育促進因子としての作用に着目し、本実験を行った。 SDラット(満期22日)妊娠95日にオリーブ油に溶解したナイトロフェン400mg/kgを投与し、CDHモデルを作製の上、AMの発現を検討した。対照群はオリーブオイルのみの投与を行った。妊娠日齢16、19、21日に肺を採取した。肺対体重比はナイトロフェン投与群日齢16で1.24±0.13(1.63±0.30)、19で3.03±0.25(4.16±0.45)、21で1.85±0.26(2.55±0.26)といずれも対照群に比し低下していた。肺組織中AMは日齢16で0.44±0.10fmole/mg(0.46±0.13)と有意差を認めなかったが、19で4.51±0.78(1.35±0.36)、21で4.95±1.95(3.20±1.17)とCDH群が高値を示した。日齢19の肺AM免疫組織染色では、気管気管支上皮・血管内皮においてCDH群が対照群に比し強く染色された。また、日齢19の胎盤・心・肝・腎中AMでは、それぞれ両群間に差を認めなかった。対照群でも肺成熟に一致してAMの増加がみられることが明らかになった。更に、この時期に一致してCDH群で、いっそうAMは高値を示すことから、AMの肺成熟促進作用が示唆された。
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Research Products
(1 results)