2004 Fiscal Year Annual Research Report
強酸化電解水が持つ殺菌作用の臨床応用拡大のための実験的・臨床的研究
Project/Area Number |
14571710
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
つる 知光 久留米大学, 医学部, 講師 (80197764)
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Keywords | 強酸性電解水 / 穿孔性虫垂炎 / 人工肛門 / 次亜塩素酸 / 皮膚pH / 細菌定量培養 / 抗菌効果 / 非刺激性 |
Research Abstract |
1.In vivoでの検討:腹膜炎モデルにおける腹内の洗浄効果と腹膜中皮細胞に与える影響についての検討は、昨年行った盲腸結紮腹膜炎モデルラットの実験からあまり進展していない.計画では5群に分け、さらに実験を進める予定であったが、現時点では強酸化電解水の希釈液群は検討していない.しかしながら、生理食塩水洗浄群と強酸化電解水群を比較すると残存した腹腔内貯留液の細菌培養結果では大きく差が認められ、強酸化電解水の殺菌効果が明瞭に認められた.実際臨床で使用するには、強酸化電解水は有機物に接触すると急激にその効果が失われ普通の水になってしまうため、洗浄量が今後の課題であると考えられた.腹腔内貯留液内のマクロファージの検討はマクロファージの採取方法を再検討中である.多群間の検討は出来なかったが、強酸化電解水の抗菌効果については証明できており、またラットに何ら悪影響も及ぼさなかったので安全性にも問題はないと考えられる.腹膜中皮細胞の光顕・電顕での変化及び腹腔内のIL2の変化に関しては有意差なく,安全性に問題ないと考えるが将来的に検討を続けるべきであると考えている 2.臨床応用の試み:新生児における人工肛門周囲皮膚管理の効果に関する検討.昨年度人工肛門造設術を行った新生児の人工肛門周囲皮膚を強酸化電解水で洗浄する部位と生食で洗浄する部位と分けて、皮膚pHを測定したが、今回は人工肛門周囲の皮膚の細菌定量培養検査を行った.強酸化電解水の抗菌効果はその含まれる次亜塩素酸の働きによることが最近明らかになってきた.昨年、皮膚のpHは10分程度しか保たれなかったが、細菌数は現在全10症例において検討したところ、生食の洗浄に比較し、有意に殺菌の減少効果を認めた.また、人工肛門周囲の皮膚糜爛・皮膚感染にも大きな効果があったことが証明された.この結果は今年の日本小児ストーマ研究会・日本環境感染学会にて発表した.穿孔性虫垂炎症例の腹腔内洗浄に実際に使用したが、過去行ってきた生食による洗浄に比較して全く合併症がなく、非穿孔症例と変わらない入院期間であった.洗浄前と洗浄後の腹腔内排液の細菌定量培養を行ってみると、有意に酸性水洗浄群の方が細菌数が減少しており、臨床的にも強酸化電解水の有用性が示された.この研究は今後継続し、術場の手洗い、一般手洗い等の検討も行っていきたい.
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