2003 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いた血管内皮増殖因子の骨代謝への影響に関する研究
Project/Area Number |
14571735
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
新飯田 俊平 国立長寿医療センター, 研究所・運動器疾患研究部, 室長 (10137630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 均 昭和大学, 歯学部, 講師 (90212571)
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Keywords | VEGF / VEGF-1 / Flt-1 / osteoclast / bone resorption |
Research Abstract |
緒言 造血因子のひとつであるコロニー刺激因子1 (CSF-1/M-CSF)は破骨細胞の形成過程に必須の役割を演じる。ところが、血管内皮増殖因子(VEGF)がCSF-1と同様の作用を担うことが明らかになった。この発見に基づいて、研究初年度にはVEGF受容体のひとつであるVEGFR-1/flt-1遺伝子のリン酸化部位をノックアウトしたflt-1TK-/-マウスにおける骨組織の解析を行い、正常マウスよりも骨の発達がやや低調であること、破骨細胞数の減少が認められることなどを明らかにした。本年度はflt-1TK-/-マウスとop/opマウスの配合によるflt-1TKを欠失したop/op(flt-1TK-/-op/op)マウスを作製し、骨組織の解析を行った。 結果 flt-1TK-/-op/opではop/opマウスよりも重篤な大理石骨病を呈していた。破骨細胞については、生後3週以内の大腿骨ではほとんど観察されなかった。生後1ヶ月には少数の破骨細胞が観察されたが、その数はop/opマウスよりさらに減少していた。flt-1TK-/-op/opにM-CSF、VEGFs、P1GFなどのサイトカインを投与し破骨細胞誘導活性について検討した結果、P1GF以外のサイトカインは破骨細胞を誘導した。VEGFsによる破骨細胞形成をin vitroにおいて確認する目的で、同マウスの脾細胞とop/op細胞から樹立された間質系細胞株OP9を共培養した系にサイトカインを添加し、破骨細胞形成を解析した。結果はin vivoによる実験と同様であった。 考察 VEGFR-1のリン酸化部位は破骨細胞誘導に必要であることが支持されたが、VEGF-121、-Eでも破骨細胞が誘導されたことから破骨細胞前駆細胞はVEGFR-1のみならずR-2も発現していることが示唆された。同前駆細胞にはCSF-1受容体以外にVEGR-1、R-2も発現しており、CSF-1欠乏下において破骨細胞分化の重要な役割を担っていることが示めされた。これらのことから、生理的な破骨細胞形成においてもこれらの受容体の関与が示唆される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kanno K, Tazuma S, Niida S, Chayama K.: "Unique reciprocal change of hepatocellular membrane transporter expression and fluidity in rats with selective biliary obstruction."Hepatology Reserch. 26(2). 157-163 (2003)
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[Publications] Kodama I, Niida S, Sanada M, Yoshiko Y, et al.: "Estrogen regulates the production of VEGF for osteoclast formation and activity in op/op mice."Journal of Bone and Mineral Research. 19(2). 200-206 (2004)
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[Publications] Niida S, Kawahara M, Ishizuka Y, Ikeda Y, Kondo T, et al.: "γ-Glutamyl transpeptidase stimulates RANKL expression independent of its enzymatic activity and serves as a pathological bone-resorption factor."Journal of Biological Chemistry. 279(7). 5752-5756 (2004)
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[Publications] 新飯田俊平: "Csfl^<op>/Csfl^<op>マウス"日本臨床増刊号 骨粗鬆症学. 772-776 (2004)
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[Publications] 天野均, 高橋勝彦: "骨とp57^<Kip2>遺伝子"日骨形態計測. 14(1). 9-13 (2004)
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[Publications] Mori H, Sakai H, Morihata H, Kawawaki J, Amano H, Yamano T, Kuno: "Regulatory mechanisms and physiological relevance of a voltage-gated H+ channel in murine osteoclasts : phorbol myristate acetate induces ell acidosis and the channel activation."Journal of Bone and Mineral Research. 18(11). 2069-2076 (2003)