2002 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリンG2:新しい細胞周期調節因子の口腔癌における発現および機能解析
Project/Area Number |
14571750
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
河野 葉子 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40195681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 哲彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (10085772)
戸野 佳世子 昭和大学, 歯学部, 助手 (60327939)
|
Keywords | 細胞周期 / サイクリンG2 / サイクリンG1 |
Research Abstract |
【目的】Laser Capture Microdissection(LCM)法とDNAチップ(6800遺伝子/1チップ)を用い、同一患者のヒト口腔粘膜正常組織と癌組織のDNA解析を行い、それらの間で遺伝子の発現に顕著に差異が認められる27遺伝子を同定した。その中でも細胞周期に関与していると考えられるサイクリンG2が正常細胞に比べ、癌細胞で発現が減少していた(Oncogene Vol.20(43)2001)。ヒトサイクリンG2の働きは未だ明らかになっておらず本研究は細胞周期調節因子としての役割を解明することを目的とした。 【方法】遺伝子の発現解析として7組の同一ヒト正常口腔粘膜組織と口腔扁平上皮癌組織からtotal RNAを抽出し、Northern blotting法を行った。さらにヒト口腔正常粘膜組織、癌組織におけるサイクリンG2の細胞内局在を免疫染色法で観察し、サイクリンG2のタンパク発現はウエスタンブロット法を用いて定量的に調べた。免疫染色は正常口腔粘膜12例、口腔粘膜上皮異形成39症例、扁平上皮癌38症例を用い、ウエスタンブロット法には正常口腔粘膜由来細胞(OKF4,OKF6)、口腔癌由来細胞株(SCC4,SCC14,SCC66,SCC105)を用いた。【結果】サイクリンG2mRNAはヒト口腔扁平上皮癌の7例中5例で減少あるいは検出できなかった。サイクリンG2のタンパク発現は正常口腔粘膜培養細胞で発現していた(2/2)が口腔癌培養細胞株では発現が減少あるいはみられなかった。免疫染色ではサイクリンG2の発現はすべての正常口腔粘膜(12/12)と口腔粘膜上皮異形成症例の41.0%(16/39)に核に強く見られ、46.1%(18/39)が核と細胞質に陽性、5.1%(2/39)が細胞質のみに陽性であった。一方、口腔扁平上皮癌の症例では32%(12/38)が核と細胞質に陽性で、34%(13/38)が細胞質のみ陽性で34%(13/38)が陰性であった。さらにヒトサイクリンG2とp53との関連性を検索するために培養細胞をアクチノマイシシDで処理後、サイクリンG2とp53の発現をウエスタンブロット法で検索した。p53の発現の有無にかかわらずサイクリンG2の発現には変化が認められなかったことよりヒトサイクリンG2活性はp53依存性ではないということが考えられる。次年度はCDKとサイクリンG2との関連性、細胞へのG2遺伝子導入後の細胞周期調節機構の解明を行う予定である。
|