2004 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリンG2:新しい細胞周期調節因子の口腔癌における発現および機能解析
Project/Area Number |
14571750
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
河野 葉子 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40195681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 哲彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (10085772)
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Keywords | 細胞周期 / サイクリンG2 / サイクリンG1 / 制御因子 |
Research Abstract |
【目的】Laser Capture Microdissection (LCM)法とDNAチップ(6800遺伝子/1チップ)を用い、同一患者のヒト口腔粘膜正常組織と癌組織のDNA解析を行ない、それらの間で遺伝子の発現に顕著に差異が認められる27遺伝子を同定した。なかでも細胞周期に関与していると考えられるサイクリンG2の発現が癌細胞で減少していた(Oncogene,20(43),2001)。細胞周期におけるヒトサイクリンG2の働きは不明確である。そこで本研究はヒトサイクリンG2の細胞周期調節因子としての役割を解明することを目的とした。 【方法】ヒト正常口腔粘膜由来細胞、ヒト口腔扁平上皮癌由来細胞株、ヒト扁平上皮癌細胞株を用いて、口腔癌細胞にヒトサイクリンG2を遺伝子導入した過剰発現細胞株や正常口腔粘膜由来細胞にsiRNAを組み込んだヒトサイクリンG2発現抑制株を樹立した。それらの細胞を用いて細胞周期におけるサイクリンG2の発現様相や増殖におけるサイクリンG2の役割を検索した。 【結果】ヒト扁平上皮癌細胞株のHela、ヒト口腔扁平上皮癌由来細胞株のSCC15にヒトサイクリンG2を遺伝子導入し、過剰発現させるとコロニー形成率が低下した。さらに遺伝子導入後24時間でS期が減少し、G1期が増加し、細胞増殖率は減少した。この結果からサイクリンG2は癌細胞を増殖抑制する機能があることが示唆された。正常口腔粘膜細胞を不死化させたOKF6tert1細胞にsiRNAを導入し、サイクリンG2の発現を抑えると、細胞増殖率が上昇し、siRNAを導入していないコントロール細胞と比較するとG1期が減少し、S期、G2期が増加していた。この結果から正常上皮細胞でのサイクリンG2の減少は細胞増殖を促すことが明らかになった。以上のことからサイクリンG2は口腔上皮細胞の形質転換に重要な役割を担っていると考えられる。
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Research Products
(2 results)