2003 Fiscal Year Annual Research Report
TIMP-1による細胞増殖活性の濃度依存性スイッチ機構の解明
Project/Area Number |
14571783
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Research Institution | School of Dentistry, Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
早川 太郎 愛知学院大学, 歯学部生化学, 教授 (80064822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 京子 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40231659)
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Keywords | TIMP-1 / TIMP-1遺伝子導入 / TIMP-1産生 / 細胞増殖 / HT1O80細胞 / ERK / MEK3 / 6 / p38 |
Research Abstract |
平成14年度の研究によって、ヒト線維肉腫(HT1080)細胞では、培養液中のTIMP-1濃度が40ng/ml近傍に達すると、細胞増殖が抑制され、さらに、100ng/ml近傍に達すると、TIMP-1の産生が抑制されることが明らかになった。このことは、細胞培養およびTIMP-1産生が細胞辺縁のTIMP-1濃度によって調節されていることを強く示唆している。そこで、今年度は、この点をより明確にする目的で、TIM-1遺伝子を導入したHT1080細胞を最初から〜160ng/mlのTIMP-1を含む培養液中で培養したところ、細胞はTIMP-1も産生しないし、増殖も示さなかった。しかし、培養液をTIMP-1を含まないD-MEM培地に交換すると、TIMP-1の発現開始に呼応して細胞増殖が見られた。この結果は、培養液中のTIMP-1濃度がTIMP-1の産生とそれによる細胞増殖を調節していることを強く示唆している。そこで、このオン・オフ調節メカニズムを解明する目的で、TIMP-1刺激によってHT1080細胞内のどのような情報伝達系が活性化されるかを検索した。その結果、MK3/6およびp38はともに低濃度(〜25ng/ml)のTIMP-1によって強く活性化されたが、高濃度(〜100ng/ml以上)のTIM-1によっては抑制された。これに対し、ERKは調べた限りの濃度範囲(25〜150ng/ml)のTIMP-1によって濃度に無関係に活性化された。以上の結果により、HT1080細胞の増殖はすでに他の細胞で明らかにされているように、チロシンキナーゼ/ERK系を介しTIMP-1によって濃度に無関係に促進されるが、高濃度のTIMP-1存在下では、MEK3/6およびp38を介して増殖が抑制されていることが明らかとなった。
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