2002 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質・歯髄複合体の再生機構の解明と再生療法への応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14571811
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉羽 邦彦 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30220718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩久 正明 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70013927)
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Keywords | 象牙質・歯髄複合体 / 再生医療 / 象牙芽細胞 / トランスフォーミング増殖因子 / 非コラーゲン性タンパク / 直接覆髄 / 歯牙移植 |
Research Abstract |
組織の再生には細胞、細胞増殖因子ならびに細胞外マトリックスの存在が不可欠である。象牙質・歯髄複合体の修復・再生機構の解明のための基礎的研究の一環として、象牙芽細胞の分化と歯髄の石灰化過程における細胞増殖因子と細胞外マトリックスの役割について検討した。 1.直接覆髄処置後の被蓋硬組織形成過程におけるTGF-βsの発現 トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βは細胞の増殖、分化ならびに組織の再生・修復過程に重要な役割を果たしている。ヒトの歯の直接覆髄後の被蓋硬組織過程におけるTGF-βならびにその受容体の発現を免疫組織化学的に観察した。その結果、歯髄組織から分化した象牙芽細胞様細胞もTGF-βs、特にβ2とβ3を強く発現すること、またこれらの受容体、特にtype II受容体が強く発現することが明らかにされた。これらの結果から象牙質・歯髄複合体の組織修復過程においてもTGF-βsが重要な役割を果たしており、これらの再生療法への有用性が示唆された。 2.歯牙移植実験における歯髄腔内硬組織形成 ラット臼歯の皮下移植実験モデルを確立し、この系における歯髄組織修復機構の解明を進めている。本研究では、歯髄腔内硬組織形成過程における非コラーゲン性タンパクであるオステオカルシン(OCN)、オステオポンチン(OPN)、骨シアロタンパク(BSP)、および象牙質シアロタンパク(DSP)の局在を免疫組織化学的に観察した。OCN、OPN、BSPは歯冠部及び根尖部硬組織において強陽性反応を示したが、歯根部硬組織では強い局在は観察されなかった。一方、DSPは歯根部硬組織では局在を示したが、他の新たに形成された硬組織では陰性だった。歯髄腔内に形成される硬組織は組織学的、免疫組織化学的所見から3種の組織に分類され、それぞれ異なった細胞かち形成された可能性が示唆され、また修復・再生過程における環境因子の重要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kunihiko Yoshiba: "Odontoblast processes in human dentin revealed by fluorescence labeling and transmission electron microscopy"Histochemistry and Cell Biology. 118・3. 205-212 (2002)
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[Publications] Akihiro Hosoya: "An immunohistochemical study on hard tissue formation in a subcutaneously transplanted rat molar"Histochemistry and Cell Biology. 119・1. 27-35 (2003)